MENU

生命の宿る惑星を探す

No.363/2014年11月号
ハーバード大学天文学教授・同大学生命起源イニシアチブ(東京工業大学地球生命研究所サテライト)ディレクター ディミター・サセロフ
ハーバード大学天文学教授・同大学生命起源イニシアチブ
(東京工業大学地球生命研究所サテライト)ディレクター
ディミター サセロフ
太陽系外の惑星(系外惑星)の探索に関わっておられ、今年6月にケプラー宇宙望遠鏡の観測結果の解析から、直径が地球の2.3倍、質量が17倍もある岩石でできた巨大な惑星「メガアース」を発見したと発表され、大変話題になりましたね。
サセロフ:私たちは、ゴジラアースとも呼んでいるのですが、今までの分類でいくとメガアースですね。地球の数倍程度の質量をもつのが「スーパーアース」で、それより大きいという意味で…。そもそもスーパーアースの名づけ親も私たちです。いずれにしろ、メガアースの発見は、地球型の惑星の範囲、生命の存在しうる惑星の範囲を大きく広げました。
「地球外生命は存在するか」は、最も刺激的な問いかけの1つです。惑星探査に加えて、これに取り組まれた何か特別なきっかけがあるのでしょうか。
サセロフ:そもそもは、天文物理学を専攻し、光(電磁波)と物質の相互作用から、恒星の安定性や宇宙の起源などについての研究を行っていました。その頃は、地球外生命にはまったく関心がありませんでした。
太陽のような主系列星で惑星を最初に見つけたのは仲間のスイス人で、1995年のことです。この惑星は恒星に非常に近く、同僚が「こういう場合に恒星の光と惑星の物質がどのような相互作用をするのか、君なら分かるのではないか?」と指摘したのです。そこで俄然、系外惑星に興味をもつようになり、1996年には研究テーマをそちらに変えました。
系外惑星大気の研究から始めたのですが、必然的に、そこに生命活動の痕跡があるのかどうかが気になり始めました。また、惑星探査や地球外生命研究の先駆者であったカール・セーガンの著書などにも触発されました。そして2006年に、地球生命の起源について卓越した研究を行っているハーバード大学メディカルスクールのJ・ショスタック教授たちと一緒に「生命起源イニシアチブ」という組織をつくりました。生命現象についてはまったくの素人だったので、教科書を読むことから始めましたが、「系外惑星と生命」というテーマには、次々と面白いことが起こるので、飽きることがありません。
生命の存在する惑星の条件というのは、かなり決まってくるのですか。
サセロフ:地球の存在をそのまま普遍化するのは危険です。宇宙における生命現象の多様性を見逃す可能性が大です。頭を柔らかくしていなければなりません。ただし、時間の制約もあるので、やみくもに調べるわけにもいきません。地球型の固体や液体の表面をもつ惑星で、恒星からの距離が液体の水がある範囲、いわゆるハビタブルゾーンにあるものから探すことになりますね。
そして、系外惑星大気の中にどのような化学結合をもつ物質が存在するのか、が生命活動の手がかりになります。宇宙の大半は熱いか希薄か、そのどちらかで、水素やヘリウムなどの単純な化学結合をもつ物質しか存在しえません。生命活動があれば、その存在を示唆する何らかのより複雑な化学結合をもつ物質が存在するはずです。私たちは、すでに、系外惑星の大気の成分を分析できるリモートセンシング技術の基本を、手に入れています。
ケプラー望遠鏡は系外惑星探査のミッションを終えていますが、今後はどのように研究を進めていこうとお考えですか。
サセロフ:数年のうちにNASAとマサチューセッツ工科大学とハーバード大学で共同ミッションを行うTESSという系外惑星探査衛星が打ち上げられます。これは宇宙の広い範囲をサーベイして、近くに存在する明るい恒星の回りにある系外惑星を探索します。このように近くにある系外惑星の大気なら、それを詳細に分析できるでしょう。その要がハッブル宇宙望遠鏡の後継機、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡です。5年後に打ち上げられる予定です。TESSで見つけた生命のいそうな惑星を、この望遠鏡で観測すれば、生命現象の兆しを見つける可能性は非常に高い。今後5年から10年の成果がとても楽しみです。
画:クロイワ カズ

※本企画は、当社の協賛で日経サイエンス誌に広告として掲載しているものであり、当社の研究開発、製品等と直接の関係はございません


この頁についてのお問い合わせは下記まで