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地平を拓く企業人を創る

No.368/2016年2月号
早稲田大学 実体情報学博士プログラム プログラムコーディネータ/創造理工学研究科 総合機械工学専攻 教授 菅野 重樹
早稲田大学 実体情報学博士プログラム プログラムコーディネータ
創造理工学研究科 総合機械工学専攻 教授 
菅野 重樹
 
現在、文科省は大学院教育に力を入れ、「博士課程教育リーディングプログラム」を展開していますが、ご担当の「実体情報学博士プログラム」もその1つでしょうか。
菅野:そうです。端的にいえば、企業の一線の研究者、開発者として世界に打って出て、産業や技術にイノベーションをもたらす人材を育成しようというのが、目的です。
プログラム名の「実体」は、ロボットなどの実体を有する機械技術分野を指しています。日本のものづくりを支えてきたこの分野と、20世紀後半から急速に発展し新産業を拓いてきた情報・通信技術分野とを融合させた体系を、学生は学んでいきます。
プログラミングやネットワークの設計・構築も、機械系の設計・製造も分け隔てなく行え、両者をごく自然に融合させるセンスをもったプロフェッショナルの育成です。こういう人材こそが、医療や環境や生産システムというますます重要になる課題にイノベーションをもたらすと確信しています。
教育体制としては、修士課程と博士後期課程を一緒にした5年一貫制になっています。理工系の12専攻の学生の中で、企業に入ってバリバリやりたいと思っている人たちを対象に選抜しています。
「工房」という面白いシステムも取り入れていらっしゃいますね。
菅野:その通りです。学生が所属する各研究室とは独立に共通の学びの場、集いの場の「工房」を設けました。面積が800m 2以上あって結構広いです。
とにかく、ここに、いろいろな分野からきた学生に集ってもらう。ディスカッションしたり、研究発表をしたり、プロジェクトを立ち上げて一緒に何かをつくったりする。そういうコミュニケーションやインタラクションこそが、新しい学問体系を学ぶ核になると考えています。
これは私たち教員の学生時代の経験が元になっています。私の恩師は世界的なロボット研究者だった加藤一郎先生です。WABOT–1号、2号と人間型のロボットを開発されましたが、私は2号の時に加藤研究室の学生でした。2号は楽譜を目で認識し、両手両足を使って電子オルガンを演奏するというロボットです。1985年のつくば万博の日本政府テーマ館で展示され、世界的にも注目を浴びました。
加藤先生が音頭をとって開発が始まりましたが、応用物理や電気工学の先生方も参加して、4研究室が一緒になって開発を進めたのです。大学側が用意してくれた大きめのプレハブ小屋に、学科の異なる4研究室の学生が集い、さらに企業の人も参加して、いろいろディスカッションしながら、開発を進めていきました。その経験は、参加者全員にとって非常に大きかった…。あのプレハブ小屋が、「工房」の原点ですね。
画:クロイワ カズ
留学生もこのプログラムに入ることができるのですか。
菅野:もちろんです。学部から留学している学生は、選抜試験に受かりさえすれば、日本の学生と同じように、5年一貫制(L1 ~ L5)の最初の年、L1から入れます。
しかしながら、大学院から留学してくる学生に対しては、通常の博士課程の1年にあたる、L3からの編入に限り認めています。このプログラムでは、学生の質ということに重きを置いており、選抜も厳密に行っています。大学院で留学してきた学生の場合、このプログラムで十分やっていけるのかどうかを、すぐには判断できないからです。しかし、厳しい編入試験を受けて入ってきた優秀な人材がすでに何人かいます。
そういう学生たちは、キャリアパスとして、日本の企業に就職したいという希望をもっています。ロボット系などは特にそうですね。
外国人も含め、分野も心構えもオープンで、それを支える方法論・スキルをもつ新しいタイプの企業研究者の登場は非常に楽しみですね。
菅野:企業の研究所に入るのなら、博士号が必須だという時代になってきているので、企業の方たちもこのプログラムの成果に大いに期待しているようです。

※本企画は、当社の協賛で日経サイエンス誌に広告として掲載しているものであり、当社の研究開発、製品等と直接の関係はございません


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