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様々な感性を定量化し、心と暮らしにフィードバック

No.376/2018年2月号
慶應義塾大学理工学部<br/>
システムデザイン工学科 満倉 靖恵
慶應義塾大学理工学部
システムデザイン工学科
満倉 靖恵
脳波の測定から、好きとか嫌いなどの感性をリアルタイムで定量的に表示するシステムを開発なさっていますが、どのようなものですか?
満倉:装置としては、ヘアバンド型の測定装置を頭に着けると、タブレットやスマートフォンに、その時の快・不快、好き・嫌い、ストレス、眠気、集中度、興味度などの感性を表す指標が、リアルタイムで定量的に表示されるものです。
この測定システムを、私たちは「感性アナライザ」と呼んでいます。システムの左の額に触れるセンサーが左前頭葉のFp1という部位の脳波を検出し、これを解析して瞬時に値を導き出します。脳のこの部位は、感性や感情をつかさどるところです。
画:クロイワ カズ
非常に簡便で小型なシステムですが、研究開発の要はどこにありましたか?
満倉:小型化したのも、いろいろなノイズを除去して正確な脳波をリアルタイムにとれるようにしたのも要です。
この研究を始めた頃の脳波計測は、被験者に市販の装置を着けるだけで40分くらいかかっていました。その後で集中する行為をして下さいといっても、なかなか難しい…。感情は前頭葉に関連していることが分かっていたので、まず前頭葉からの信号だけをとれるような簡易装置をつくったのが始まりです。
ノイズも大量に入ってきます。まばたきのノイズとか…。ノイズの信号を1個1個定義して消去し、きれいな信号をとれるようにしました。
そして、アルファ波帯域が高ければ集中しているといった脳波と感性の従来の定義を、まったく別のものに置き換えたことが、何よりの要ですね。周波数の組み合わせに注目したのです。
集中を必要とする行為を行ってもらって脳波をとると、データ自体は被験者ごとにバラバラですが、細かく分析していくと、周波数の組み合わせに共通した規則があることが分かってきました。そして、集中度や好き・嫌いなどの感性を脳波の周波数の組み合わせパターンで定義し、標準化することができるようになりました。8000人以上の被験者からのデータによるものです。
今後は、どのように感性アナライザを発展させていこうと思っていらっしゃいますか。
満倉:1つは、やはり、システムの小型化をもっと進めることです。1cm四方以下のバンソウコウのような、非常に小さくて薄い装置にして額にずっと貼り付けておき、常時、感性をモニタリングできるようにしたいですね。また、測定できる感性の種類も、現在の18種類から100種類くらいに広げたいと思っています。
応用にも力を注がれていますが、どんなことをお考えですか。
満倉:今までも、タイヤによる車の乗り心地の差異を感性アナライザによって数値できちんと示すことや、CMにおいてどのシーンにどう反応しているのかを解析して、興味を持たせて購買欲を刺激するのは何かを解明することや、レストランのメニューを眺める時の脳波を分析して、オーダーに至った理由を明らかにするなど、企業と組んで、いろいろな商品の価値や消費行動をきちんとした数値として解析してきました。
また、うつ病などの精神疾患の定義付けや重症度のタグ付けなどを、感性アナライザを用いて行っていくことを、医学部との共同研究で進めています。そして、現在、その重症度を知ることのできる装置を開発中です。
精神疾患のタグ付けができれば、反対にその感情状態をリセットするような周波数を送ることもできるようになるでしょう。薬ではなく、周波数による治療です。 このようなリセットは、精神疾患の方だけでなく、普通の方々にも適用できます。気分が落ち込んだ時に、街にある、ガソリンスタンドならぬ感性スタンドに行って、額に貼り付けてある感性アナライザの分析結果に基づいて、落ち込み解消の周波数を送ってもらうのです。私は、こういう日がきっと来ると確信しています。

※本企画は、当社の協賛で日経サイエンス誌に広告として掲載しているものであり、当社の研究開発、製品等と直接の関係はございません


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