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インドのお寺でヒンズー教パワーを垣間見た話 - INDIA -

No.389/2010.05
医薬研究所/ 萩原 昌彦
画:クロイワ カズ

昨年5月、インドのハイデラバードに出張した時のこと。仕事の合間に客先が近くのヒンズー教寺院に案内してくれました。

ビルラ・マンデラ寺院は、ビルラ財閥が10年がかりで建設した新しいお寺。2,000tの大理石を使ったというだけあって、丘の上に立つ白亜の大伽藍が見るものを惹きつけます。境内には大理石の彫刻がいくつも立ち並び、どれも立派な精密細工です。石の階段を昇りきると、本殿があります。テラスからの眺望がまた素晴らしい。フセインサガール湖を抱くハイデラバードの町が一望できるのです。

本殿の中は大勢の参拝客でごった返しています。大広間の中央には小さな舞台がしつらえてあり、そこにはサリーのような着物を纏った数名の聖人らしき人物が立っています。この人たちが聖人なのか、カースト制でいうバラモンなのかは分かりません。参拝客は、この人たちに手を合わせて拝礼していました。すると、米菓子が手渡され、どうやらそれでお参りの目的が達せられるようです。その後、参拝客は米菓子を手にテラスを散策したり、階段に腰を下ろして菓子を食べたり、まるでピクニック気分。

ヒンズー教はカースト制度が残る、戒律の厳しい宗教との先入観がありましたが、信者たちの様子を見ていると、開かれた宗教で、庶民の日常生活に深く入り込んでいるような印象を受けました。日本の神社でも縁日には露店や遊戯施設まで出て、かなりレジャー化されていますが、ヒンズー教も神道と同じ多神教です。

現在、ヒンズー教の信者はインドを中心に世界で9億人。仏教を凌ぐものがありますが、マンデラ寺院訪問でその秘密の一端を垣間見たような気がしました。