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折角のお土産をゴミ箱に捨てた話 - SPAIN -

No.390/2010.06
ナイロン樹脂ビジネスユニット/ 久保 剛
画:クロイワ カズ

3年前、スペインのバレンシア州にある現地会社に技術指導のため出張しました。2週間余りの滞在で現地のスタッフとも親しくなり、いよいよ帰国の日。7人の方が宿舎に見送りに来てくれました。

「これはバレンシアの想い出よ。大事に使ってね」

車に乗り込むとき、妙齢のご婦人・ディアナさんから小さな紙包みをいただきました。私はお礼を言って包みをバッグへ。手を振りながら車は出発。バルセロナ空港まで3時間ほどかかります。

空港に着くと、先ずチェックイン。スーツケースを預け、航空券を渡して手続き完了。手荷物のバッグを肩に搭乗口に向かいます。ところが、セキュリティ検査でバッグがパスしません。中を見せろといわれ、全部出しました。パソコン、携帯電話、カメラ… その時、小さな紙包みが! ディアナさんからのプレゼントです。紙包みを再びX線へ。「これはダメだ」といいます。不審に思って開けてみると、中身は可愛いワイン・オープナー。折りたたみ式で、片方にはラセン状のコルク抜き、もう片方には尖った小さなナイフ。どう見ても機内持ち込みは無理。スーツケースに入れておくべきだったと後悔しましたが、後の祭り。おまけに、紙包みを返してくれません。早口のスペイン語でまくしたてられ頭の中は真っ白。漸く英語の話せる係員をつかまえて紙包みを受け取ったものの出発時間が迫ります。大急ぎでチェックインカウンターに引き返し、紙包みをチェックインしてほしいと頼みました。が、「小さすぎてダメです。それに入れればチェックインできます」と、私が肩に下げているバッグを指差して冷たい返事。バッグにはパソコンが入っているので預けるわけにはいきません。泣く泣く紙包みをゴミ箱へ。

ディアナさん、ごめんなさい!