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妻の帝王切開で途方に暮れた話 - U.S.A. -

No.402/2011.06
宇部興産機械(株)/ 米原 淳一
画:クロイワ カズ

アメリカのミシガンに駐在していたときの話です。妻が2人目の子供を出産することになりました。長男は帝王切開で出産したのですが、今度も同じです。帝王切開が続くのはよくないと聞いていたので、ミシガン大学病院に入院させました。アメリカでは超一流の大学病院。

妻も安心して手術に応じました。アメリカの病院は入院期間が非常に短く、入院即手術。無事男の子を出産すると2日後には退院です。が、術後の処置が上手くいかず入院を延長することになりました。

アメリカでは医療保険はすべて保険会社が取り仕切ります。入院の延長は認められないと言うのを交渉して何とか2日間延長してもらいました。入院から4日後、我が家に帰ってきた妻とわが子を見て、さすがはミシガン大学と喜びました。

それから3日経ち、抜糸のために再び妻を病院に連れて行きました。ところが、どうも様子が変です。抜糸と同時に傷口が開いてしまったというのです。すわ、再入院! 手続きを取ろうとしたところ、今度は保険会社がOKを出しません。術後のケアは在宅でできるとの一点張り。

早速、中年のナースが自宅に派遣されてきました。ケアといっても傷口を消毒するだけです。ナースは手際よく消毒すると、後は自分でやれと言って帰って行きました。翌日、消毒用の薬やガーゼの入った段ボールが3箱届きました。ベッドの妻は痛がるし、赤ちゃんは泣きやまず、日本から手伝いに来てくれた妻の母親も悲嘆のあげく泣き出す始末。私は途方に暮れてしまいました。

でも、苦労の甲斐あって、妻の傷口も徐々に回復に向かいました。その子も今や14歳。妻もその後大きな変調はありません。やはり、あの大学病院の医師は名医だったのか。今更ながら感謝しています。