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初の中国出張でアタマを使った話 - CHINA -

No.410/2012.02
機能電池材料ビジネスユニット/ 山本 夕
画:クロイワ カズ

昨年2月、国内営業中心だった私に中国出張のチャンスが巡ってきました。目的地は珠江デルタ地帯の深せん(しんせん)。直ぐ隣の中山市は孫文の出身地です。折しも辛亥革命から丁度100年。中山市にも立ち寄ってみたいと、少し下調べしました。

孫文は日本に亡命中、暫く日比谷公園の近くに暮らしていました。すぐ傍に「中山」という邸宅がありました。何と、明治天皇の御生母、中山慶子さんのお宅です。孫文はその邸宅の表札がとても気に入って自身を「孫中山(そん・ちゅうざん)」と号するようになったといいます。そんなことが分かって、一層期待に胸が膨らみます。

ところが、深せん到着の初日からハプニングです。訪問先に向かう車がエンスト。中国人の運転手は馴れた様子で、押せばエンジンがかかる。降りて押してほしいといいます。仕方なく、上司と2人、車の後ろに回ってトランクに手をかけました。力自慢の私にはピッタリの役回り。両腕で懸命に押しますが腕が痺れるばかり。最後には、背広の上着をクッションにして頭でグイグイ。車はゆっくり動き出して、ガリガリ、プスン。あと少しのところで止まってしまいます。後続車は大騒ぎ。クラクションと罵声に煽られて、仕方なく車を路肩に寄せ、タクシーを探しました。

初日にもたついた所為か、3日間の滞在は特に成果もなく、あっという間に終わりました。肝心の中山市も車窓からチラッと眺めただけです。

帰りの飛行機は満席。狭いシートの中央でメタボなボディーをよじりながら反省しました。最初から思い通りにいくと思うと大間違い。唯一の自分の活躍の場が、路上で精いっぱいアタマを使ったこと? 期待の中国初出張は何とも寂しい結果に終わりました。