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逃避旅行のタイミングを誤った話 - THAILAND -

No.422/2013.02
知的財産部/ 後口 隆
画:クロイワ カズ

2010年から2年半、現地会社の研究開発部門立ち上げの仕事で、タイのシラチャで暮しました。

シラチャはバンコクから南東に車で2時間足らず。海に面した環境の良い町で、日本人もバンコクに次いでたくさん居住しています。生活には申し分ないのですが、唯一困ったのが、タイの旧正月、ソンクラン。4月13日から15日と、一応決められているのですが、地域によってはかなり幅があります。

ソンクランのメイン・イベントは水掛け。通りを歩いていても、車で走っていても水を掛けられます。消防車が放水することもあります。元々、相手に敬意を表するための儀式だったと聞きますが、今では正に水掛け祭り。フィーバーが少々行き過ぎのように思います。

夜はもっと大変です。我が家の近くには野外ステージが3箇所に立ち、そこで遅くまでカラオケ大会をやるのです。マイクのボリュームが大きいと窓ガラスが震えるほどです。とても眠れません。一度、工場から耳栓を借りてきて耳に挿入しました。今度はそれが気になります。

2年目の4月、ソンクランを逃避するために家族で海外旅行を計画しました。ソンクラン・ツアーと銘打って多くのパッケージ・ツアーが売り出されています。オーストラリアを選びました。4月のオーストラリアは秋の入口、避暑にも最適です。

雄大な大自然の下、天候にも恵まれて快適な旅行でした。大いにリフレッシュされて帰ってきました。ソンクランのお祭り騒ぎも終わって、ゆっくり眠れると思いきや・・・。

シラチャでは未だ終わっていなかった。その夜、あの忌まわしいカラオケの歌声が大音響で寝室に侵入してきたのです。