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世にも不思議なイカを食べた話 - CHINA -

No.430/2013.10
建設資材カンパニー/ 藤嶽 暢成
画:クロイワ カズ

2005年、中国の南通市に生コン工場を建設することになり、その立ち上げのため現地に赴任しました。南通市は江蘇省の南、長江に面した人口770万の都市。工場はゼロからの立ち上げで、土地の手当てと建設業者の選定から始めました。生コンとは、セメント、砂、砂利を水で混ぜて練り上げた、フレッシュな状態のもので、固めるとコンクリートになります。砂利はコンクリートの骨材となるのでとても重要です

赴任して3年目の夏、砂利の品質調査のため山元を訪問することになりました。場所は浙江省寧波の近く。車で出かけました。今なら杭州湾大橋を使えるのですが、当時は未だなく、大回りするため総行程は約1,000km。同行は購買課長の中国人スタッフと運転手。

途中、浙江省に入るころ、昼食を取ることになり、高速道路を降りてレストランを探します。山奥の田舎町に似合わない小奇麗な店が見つかり、そこに入りました。メニューはすべて中国語ですが、写真があるので選ぶのは簡単。イカとニラを炒めたような料理を頼みました。2人の中国人も好きなものを注文しています。テーブルに運ばれてきた皿には緑色のニラと白くて長いイカらしきものが載っています。空腹だったので、取りあえず口に入れました。が、想像したより軟らかい。これは??

よく見ると、先端に黒いクチ?何だ、これは!隣の中国人スタッフに訊くと、彼は紙に字を書いてくれました。漢字で書かれた最初の字は「蚕」!カイコだったのです。蛹(さなぎ)の揚げ物なら以前食べたことがあるのですが、幼虫の炒め物は見るのも初めて。お陰ですっかり食欲は失せ、ニラだけを摘んで、カイコは彼らに譲りました。そのとき漸く気付いたのですが、こんな山奥にイカなどあるわけなかった!