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自分の車が見つからず泣きべそをかいた話 - U.S.A. -

No.432/2013.12
建設資材カンパニー/ 佐藤 昭一
画:クロイワ カズ

アメリカのミシガン州とカナダのオンタリオ州に合計11年駐在しました。どちらも最寄りの国際空港はデトロイト空港。いつも車でアクセスしているので、駐車場のことは熟知していました。

ある年の冬、緊急用件で日本へ出張です。当日、朝まで資料作りに追われ、慌てて空港へ。駐車場の空きスペースを探すのに手間取ることを心配しましたが、簡単に見つかりました。車を停めて、「此処だな」と、その場所を頭に入れたはずでした。

日本で忙殺され、1週間後の夜遅くデトロイト空港に帰着。駐車場に入ったものの、出発時の記憶は完全に失われていました。此処のパーキングは地上5階、地下5階、収容台数1万台の巨大ビル。どの階に停めたかも思い出せず、下の階から順番に探して行きました。似たような車を見つけ、これだ! と近寄ってみるとナンバーが違う。同じことの繰り返しで2時間ほど過ぎました。時計をみると夜中の1時。誰も居ない駐車場は深々と冷え込んできます。体感温度はマイナス10度以下。疲れと寒さで座り込んでしまいました。

ひょっとすると盗まれたのではないか。別のターミナルに停めたのではないか。妄想が頭をよぎります。その時です。ヘッドライトの光とともに1台の車が通りかかりました。駐車場のパトロールです。目の前で停車すると、「どうした?」と声が…。まさにタイムリー・レスキュー! わけを話して暖かい車内から探すことに。車は簡単に見つかりました。お礼にチップを渡そうとしても受け取りません。代りに、私の知っている限りの英単語を総動員して感謝の気持ちを伝えました。

それ以来、パーキングでは停めた場所を必ず駐車券にメモすることにしています。