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交通違反を裁判で争った話 - U.S.A. -

No.439/2014.07
研究開発本部/ 親 潤一
画:クロイワ カズ

2009年の3月、コロラド州デンバーの研究所に勤務していたときの話です。出張のため車でデンバーの空港に向かう途中パトカーに止められました。速度制限は守ったはずですが、免許証を出せといいます。当時、赴任して日が浅く、日本で取得した国際免許証で運転していました。それを渡すと、「これはパーミットでライセンスではない」と。確かに、日本語では「免許証」と書かれていますが、英語では「パーミット」となっています。何だかよく解らないまま、免許不携帯3点、速度違反6点のペナルティ切符を切られました。急ぐのでその場は引き下がりましたが、どうも釈然としません。

国際免許証が通用しないはずはない。後日、日本語の解る弁護士に相談したところ、「国際免許証は1年間有効で問題はない。警官が知らなかっただけだ。スピード違反は素直に謝れば大丈夫。裁判所に出頭して不服審判を請求しよう。一切私が談判するからあなたは黙っていればよい」と心強いアドバイス。他の在留邦人のためにも、思い切って裁判を経験してみることにしました。

デンバー市の裁判所は大勢の人で大混雑。1時間近く待ったでしょうか、漸く法廷に呼ばれました。厳粛な雰囲気の中、検察官らしき男が私の罪状を読み上げます。それが終わると、判事が「事実ですか?」と私に訊きます。「はい、事実ですが、もうやりません」まだ英語のままならない私の発言はそれだけ。後はすべて弁護士が交渉してくれました。結果は免許証については無罪。スピード違反も反省の意思ありで3点に減免。罰金100ドル余りで決着です。

何事もやってみるもの。罰金が安くてすんだのも勇気を持って裁判に踏み切ったご褒美かもしれません。もちろん、それ以来スピードには気をつけています。