MENU

宇部興産、三菱伸銅と共同で薄膜タイプの二層CCLを開発

2001年6月4日

宇部興産(株)(社長:常見和正)と三菱伸銅(株)(社長:桑名哲夫)は、超微細回路の形成が可能な、薄膜タイプのニ層CCL(Copper Clad Laminate:銅張積層板)『ユピセルD』を共同開発した。これは、宇部興産で既に製造販売を開始している銅箔タイプの『ユピセルN』に続くものである。
携帯電話、モバイルパソコンなどの情報端末機器、移動体通信機器の性能向上と小型軽量化を実現するためには、チップ周辺部品の高機能化と小型化を実現しなければならない。それには回路の微細化が有効な手段となる。銅箔タイプの『ユピセルN』は、最も薄い銅厚みが9μmであるが、より微細な回路を形成するために、さらに薄い厚みが求められていた。今回の『ユピセルD』はそれに応えるものである。
薄膜タイプのニ層CCLは、これまで、銅層とポリイミドフィルムのより高い密着強度が求められていたが、今回開発した『ユピセルD』ではこの点が大幅に改善されている。
三菱伸銅は、長年培った真空蒸着・スパッタ(薄膜形成プロセス)技術並びに銅製品製造技術をもとに、より高い密着強度を実現する薄膜銅形成プロセスを開発した。
また、宇部興産が開発した、基板となるポリイミドフィルム『ユーピレックス-XT』は、銅薄膜の密着性をより向上させるために、従来の『ユーピレックス-S』を改質したものである。
宇部興産の専用ベースフィルムと三菱伸銅の薄膜積層プロセスを組み合わせることによって、ピール強度(初期引き剥がし力)が14N/cmと、従来品に比べて極めて密着力の強い薄膜タイプの二層CCLが可能になったものである。
『ユピセルD』の製品形態はロール状で、次のような特長がある。

  1. 薄膜プロセスにより銅層を形成する為、銅層の厚みを1μmから8μm程度まで対応可能。
  2. 超微細回路のパターン形成が可能。
  3. 回路のパターン形成後の下地層(バッファー層)のエッチングが不要な為、工程を簡略化出来る。
  4. 『ユピセルN』同様、接着剤を使用していないので、耐薬品性、絶縁信頼性に優れている。
  5. 高強度、低吸水性、高寸法精度。

プロセス上両面銅層タイプも可能だが、当初は市場ニーズの高い片面タイプから販売していく。既にシート形状によるユーザー評価を受け始めており、2001年10月からはロール品のサンプル出荷を開始する。2002年4月から商品化し、10万m2/年規模での生産を開始する予定である。
売上高としては、COF(Chip on Film)用基板、FPC(Flexible Print Circuit)用基板など、薄型化の要求される用途向けに、2004年度20億円を見込んでいる。

お問い合わせ先

ニュースリリースについてのお問い合わせ