宇部興産(株)(社長:田村浩章)は、本日、「石炭灰を用いた人工地盤材料『ゼットサンド』の開発」について、経済産業省より平成17年度「資源循環技術・システム表彰」の「経済産業省産業技術環境局長賞」を受賞した。
この賞は、(財)クリーン・ジャパン・センターが経済産業省の後援を受けて、廃棄物の発生抑制・再使用・再資源化に資する優れた事業や取組みの奨励・普及を図ることを目的として表彰するもので、リサイクルや環境保全の表彰制度としては最も長い歴史をもつ表彰の一つである。
今回受賞した『ゼットサンド』は、石炭火力発電所等から発生する石炭灰(フライアッシュ)を造粒化した人工地盤材料であり、路床・路体(盛土)・構造物の裏込めや埋戻し・河川築堤・土地造成向けなどに提供することで、石炭灰の有効活用による再資源化と、天然砂質土に替わる人工地盤材料としての利用により天然資源の保全を図ることができる。
今回の受賞は、石炭灰の約90%を占める微粒子状フライアッシュの土木分野での利用がハンドリング性や環境影響への配慮から一部に制約されている課題を解決し、天然材料と同等の性能を有する人工地盤材料『ゼットサンド』を開発したことが高く評価された。
『ゼットサンド』の特長は以下のとおり。
宇部興産(株)は、2001年度に(財)クリーン・ジャパン・センターの廃棄物再資源化実証実験事業を受託し、2002年度から2年間にわたり最大能力5万トン/年の石炭灰処理が可能な量産設備を沖の山コールセンター内(山口県宇部市)で稼動させ、『ゼットサンド』の製造及び用途開発の実証試験を実施してきた。
その後、2004年4月1日より営業運転を開始、本格稼動に入っている。また、2002年度には山口県リサイクル製品の認定を、2004年11月には (財)土木研究センターから建設技術審査証明(土木系材料・製品・技術)を取得している。
『ゼットサンド』は、地盤材料としての物理特性や強度および支持力特性、施工性、環境に対する安定性等から採用実績も着実に伸長しており、2005年度は地方自治体が施工する道路用盛土材をはじめとする公共工事用などに約3万トンの受注を既に確保している。
今後も土壌環境基準に適合する安価なリサイクル製品として拡販を図り、2007年度には約8万トンの販売を計画している。
主な用途 | 土木工事用等に用いられ、天然の砂や土(まさ土等の砂質土)の代替材料。路床、路体(盛土)、構造物の裏込めや埋戻し、河川築堤、土地造成の用途に使用する。 |
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組成 | 主原料としての石炭灰、固化材としてのセメント等の無機物及び水からなる。原料としての粉体を秤量後、バッチ式造粒機内で水を加えることで混合と同時に造粒が行われる。造粒後は、屋内で1~2日間養生を行った後、屋外で貯蔵される。性状としては、灰色で平均粒径が1mm程度の粉粒状。 |