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世界初 カプロラクタム製造工程でのN2O削減CDM事業

~タイ カプロラクタム社とタイ政府承認を取得~

2008年3月19日

宇部興産株式会社(社長:田村浩章)と三菱商事株式会社(社長:小島順彦)が共同でタイにて進めている亜酸化窒素(N2O)削減CDMプロジェクトが、昨年8月2日の日本政府承認に続き、2月27日、タイ政府より正式に承認されました。
本案件は、宇部興産のタイにおける子会社、タイ カプロラクタム社(Thai Caprolactam Public Co., Ltd.、以下TCL社)における、ナイロン6*1の原料となるカプロラクタム製造工程でのN2Oを削減するCDM*2プロジェクトで、カプロラクタムの製造工程でのN2O削減では世界初となります。また、本案件はタイ政府として初めて工業(化学)分野で承認したCDMプロジェクトです。宇部興産としては初のCDMプロジェクトへの参画となります。

亜酸化窒素(N2O)は、カプロラクタム製造工場で発生する副生ガスであり、地球温暖化に影響がある温室効果ガスです。本プロジェクトでは、同製造工程における排気ガスに含まれるN2O排出量の削減を目的としてTCL社に設置される触媒式分解プラントにより、2008年7月から年間約17万トンの排出権(CER)を獲得する予定です。また、三菱商事は獲得した排出権を地球温暖化問題に積極的に取り組む企業に販売予定です。

*1
ナイロン6とは:
繊維向け、エンジニアリングプラスチック向けが主な用途のナイロン。ストッキング、食品包装用フィルム、魚網、自動車向け部品などに使用される。
*2
CDMとは:
クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism)の略。地球温暖化防止のために1997年に合意された京都議定書が定める温室効果ガス削減手法。例えば、そのルールに従い削減義務を負う日本の企業が、削減義務を負わないタイで温室効果ガスの排出量削減事業を実施すれば、国連CDM理事会より排出権(CER)を取得することができる。

1.タイ カプロラクタム社(TCL社)概要

正式名称 Thai Caprolactam Public Co., Ltd.
所在地 (本社)タイ王国バンコク市 (工場)タイ王国ラヨン県
社長 Charunya Phichitkul(チャルニア ピチットクン。宇部興産(株)常務執行役員兼務)
設立年 1990年
従業員数 409人(2007年6月末現在)
出資比率 宇部興産 91%、丸紅グループ 7%、その他 2%
業種 カプロラクタム、硫安の製造・販売
生産能力 カプロラクタム 110千t/年、硫安460千t/年

2.本プロジェクトの概要

1)プロジェクトの名称

タイにおけるカプロラクタム生産プラントのテールガスの触媒式N2O分解プロジェクト

タイのカプロラクタム生産プラント

2)プロジェクトの所在地

タイ王国、ラヨン県、ムアン ラヨン地区、タンボン タポン

タイ王国、ラヨン県、ムアン ラヨン地区、タンボン タポン

3)プロジェクトの実施スケジュール

2008年7月よりN2O分解プラント稼動予定

4)地球温暖化防止等への貢献

N2Oは温暖化効果が二酸化炭素の310倍と大きいため、案件規模と相俟って、本プロジェクト実施を通じて地球環境への貢献を目指します。また、三菱商事は獲得した排出権を地球温暖化問題に取り組む企業へ販売することで当該国の削減義務目標達成にも貢献すると考えています。

5)宇部興産について

宇部興産はタイにカプロラクタムの他に、ナイロン6樹脂、ブタジエンゴムの製造拠点を持ち、3工場が一体となって環境安全に取り組んで、地域社会との共生を目指しております。本件は、地域の環境改善に大きく貢献するものと期待しているだけでなく、タイ工業連盟においても、業界初のパイロットプロジェクトとして、また、日本の最新技術が、環境改善目的のためにタイへ技術導入する案件であり、大いに注目されています。

6)三菱商事について

三菱商事は「市場メカニズムを使った地球環境と経済の共生」の必要性を認識し、排出権ビジネスに取り組んでおります。CDMに関するノウハウを活用し、以下役割を担っております。
 -国連登録可能な事業(排出権獲得可能な事業)としてプロジェクト設計アドバイス
 -日本政府の承認を取得
 -排出権売買の形でプロジェクト資金の提供
三菱商事は今後とも全世界での排出権ビジネスを通じ、持続可能な発展という長期的な観点から地球環境と企業を支えるお手伝いをして参ります。

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