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2012年社長年頭挨拶要旨

2012年1月4日

宇部興産株式会社
代表取締役社長 竹下道夫

昨年は東日本大震災・原発事故、台風・豪雨、タイ洪水など災害・事故の多発した年でした。UBEグループは事業活動に致命的な影響を受けることなく乗り切ることができましたが、安全安心な生活を確保するため、国としても防災インフラの強化やリスクベースのハード・ソフトの整備をどうするのか、更にはグローバル化が進展する中で持続的繁栄を維持しながら国際的にどう貢献していくのか、など大いに考えさせられた1年でした。

中期経営計画「ステージアップ2012 -新たなる挑戦-」の2年目となる11年度上期の業績は予想を上回ることができ、財務指標についても着実な改善が進み、信用格付けも「A-」に1ノッチ上がりました。
ただ、全体を見ると数値的には好調といえるかもしれませんが、カプロラクタム・合成ゴムなどコモディティ製品の貢献が大きく、成長戦略事業は、先進国経済の低迷やユーザー地図の変動、タイ洪水などの影響で伸び悩んでおり、苦戦を強いられています。

今年は、財政問題を抱える欧米など先進国の経済は足踏みが続き、金融引締めのトレンドにある新興国はやや減速はするものの高い成長率が続くでしょう。
震災以前より、日本の製造業を取り巻く市場環境は変貌しつつあります。新興国を含めた競合の激化、円高、FTAや税制などイコールフィッティングの不備に、震災後の電力供給の不透明感などが加わり、グローバル競争上のハンディが拡大しています。原料から最終消費財に至るサプライチェーンとしての産業の競争力に焦点をあてた政策が求められます。
ただ、素材産業は、その裾野の広さ・層の厚さ・開発力・製造技術などを背景に、依然として高いシェアを維持できるポテンシャルを有しています。日本の産業の活力を維持し、発展させていくためには、この様な強みを生かし、更に強化していく取組みが必要です。

昨年は電池材料などで事業の将来展望を踏まえ、市場環境の変化のスピードに対応すべく、いくつかの提携を決定しましたが、今年はコモディティ製品についても競争力強化のため、原料ソースなどを考えた提携を進めていく予定です。
今年は現中計の目標達成と共に、次期中計をまとめる年です。目標達成のためには、成長戦略事業を中心とした新増設設備を増収にしっかり繋げていくとともに、諸事業課題に弛みなく取組んでいくことが欠かせません。次期中計については、中核基盤事業の収益力の更なる強化と、成長戦略事業・育成事業のスピーディな伸長を計画に反映させていく必要があります。

新年にあたり、皆さんへのメッセージとして『イノベーション意識の定着』を取り上げたいと思います。「技術革新」という狭義の意味だけでなく、UBEグループの風土の改善につながるあらゆる活動と捉え、現状を是認せず、より高い機能・低コスト・安全・好印象・高評価・自己の能力アップなど求め続ける行動様式です。そして、皆で努力して、明るく、活力がある、働き甲斐のある職場を創っていきましょう。

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