HOME > 分析機能(装置) > 無機分析
C1304

透過型電子顕微鏡

1. 型式

(株)日立ハイテクノロジーズ製     HT7700

2. 概要

TEMにオプションとしてSTEM, EDS, 磁場キャンセラーが付属されています。

試料は100nm程度に薄片化した切片を用います。

TEMは試料に電子を照射し、透過・散乱した電子を拡大することにより試料の構造を、STEMは細く絞った電子線を試料上で走査し、透過・散乱した電子を検出することで試料の組成を、EDSは試料に電子を照射し、発生した特性X線を検出することで、試料中の元素を調べます。

当装置の特徴を以下に示します。

3. 特徴

図1:装置写真
図1:装置写真
図2:撮影
図2:撮影
  1. 従来は蛍光板に投影された像を直接観察していましたが、観察がモニタに一元化されたため、明るい部屋で複数人による観察が可能になりました。(図1)
  2. 最大で8k×8kピクセルのつなぎ写真ができるため、同一視野において高解像度の写真撮影が可能になりました。(図2)
  3. 長焦点と短焦点の複合レンズを搭載しており、前者では低倍率・高コントラスト観察(HCモード)を実現し、後者では高倍率と高分解能観察(HRモード)を実現しました。

4. 性能

  TEM STEM
分解能(nm) 0.20(Acc.=100kV)
0.14(Acc.=120kV)
1.5
倍率 ×200〜×800,000 ×1,000〜×800,000
加速電圧(kV) 40〜120 40〜120

5. 分析依頼時の留意点

真空中で分析するため、その条件下で安定である必要があります。

6. 測定データ例

従来装置と新規装置でゴム(NR)・ポリオレフィン(PE)・ナイロン三元グラフト共重合体を同条件で観察した結果を以下に示します。

従来 新規(HCモード)
従来 新規(HCモード)

従来装置では3成分のコントラストが低いのに対して、新規装置では高コントラスト観察が実現されたため、分散状態が明確に観察できています。

7. 適応例

  1. フィラーの分散状態の観察
  2. ポリマーアロイの観察 (染色*が必要です)
  3. 結晶性ポリマーの内部構造観察 (染色*が必要です)
  4. フィラーの元素分析
*   TEM観察における染色とは、組成が類似した物質同士に対して、選択的に重金属を導入することで、物質同士を区別する前処理です。

前のページに戻るこのページのトップへ