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I340

ICP-MSの定量感度

材料中の元素組成分析に多用されるICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析法)の定量下限を以下の表に示します。

図:ICP-AES定量下限表

図:ICP-MS定量下限表(四重極型ICP-MS装置の場合)

ICP-MSの特徴は次の通りです。

  1. 極めて高感度である反面、水(H2O)や酸(HNO3など)に起因する妨害ピークが多数出現します。このためP, S, Siの測定ができませんが、高分解能型ICP-MSで妨害ピークを分離することでppbレベルの測定が可能です。また、四重極型ICP-MSでも質量分析器内の反応ガスで妨害ピークを除去して測定できる場合があります。
  2. Csの感度は非常に良く、10ppt(pg/mL)のピークも観測できます。
  3. 多元素を数分で測定できます。60〜70元素の定性・定量分析に向いています。

また、実際の測定に関しては以下に注意することが必要です。

  1. 上記は、希硝酸を測定した場合の定量下限です。実用上の定量下限は、共存する酸の種類や濃度、主成分元素によって大きく変わります。また、共存元素の質量干渉等により測定が出来ない場合もあります。測定出来ない場合は、他法での測定を検討します。
  2. 固体試料中の元素濃度分析の場合、酸やアルカリなどを使用して分解し、溶液にしてから測定します。ICP-MSの測定溶液中の定量下限はpptレベルですが、もとの固体中試料中の元素濃度に換算すると0.01〜0.1ppm(µg/g)レベルになります。

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