HOME > 分析対象 > 自動車 > リチウムイオン二次電池
L002

カーボン材料の劣化状態の観察

カーボン材料はLi二次電池の負極材料として広く採用されており、現在、電池の電気容量や寿命を増大させるため、様々なカーボン材料が研究されています。電池の充放電時、Liイオンはカーボン材料への挿入と脱離を繰り返します。グラファイトではLiイオンが層間に存在し、非晶質カーボンではLi原子として存在することが知られていまが、充放電を繰り返すことにより元々の構造自体も劣化することも報告されています。このため、カーボンの劣化状態を高分解能に観察することは、電池の劣化要因を調べる上でも非常に重要です。

今回、異なる層数を有するカーボンナノチューブ(DWCNT:Double-wall、 TWCNT:Triple-wall、 QWCNT:Quadruple-wall、 MWCNT:Multi-wall)のプラズマイオン損傷の状態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察しました(下図)。CNTを反応性イオンエッチャー装置の高周波電極上に置き、CF4ガスを流しながら高周波(13.56MHz)を与えることによりプラズマイオンを発生させます。プラズマイオンの密度とエネルギーはCF4ガス流量と高周波出力でコントロールされます。プラズマイオンの増大とともに、CNTのグラフェンシートは湾曲し、アモルファス化していることが観察されます。この劣化の度合いは、CNTの層数の増大とともに抑制されていることが分かります。

図:DWCNT、TWCNT、QWCNT、MWCNTのプラズマイオン損傷の高分解能TEM観察

図:DWCNT、TWCNT、QWCNT、MWCNTのプラズマイオン損傷の高分解能TEM観察
   Shoda et al.、Jpn. J. Appl. Phys. 46、7977(2007)

前のページに戻るこのページのトップへ