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L029

Co酸化物中LiのEELSマッピング検討

図1:EELSスペクトル

透過電子顕微鏡(TEM)において、Liの分析は電子エネルギー損失分光法(EELS)により対応可能です。しかし、Liと共に用いられることが多い3d遷移元素のMエッジはLi-Kエッジと重なるため、遷移元素と共存するLiを分析するのは困難です。例としてLiCoO2とCo3O4試薬のEELSスペクトルを図1に示します。LiCoO2におけるLi-KエッジはCo-M23エッジ中に隠れて確認できないことが分かります。尚、LiFはリファレンスとしてEELS Atlasから引用しました。

EELSスペクトルの二次微分からLi-K由来の成分を抽出する手法が開発され、Liイオン二次電池の解析に応用されています。
[論文:Kikkawa et al. Electrochemical and Solid-State Letters、 11 (11) A183-A186 (2008)]。
この手法を用いてLiCoO2、Co3O4試薬の混合物を試料としてEELSスペクトルマッピングの検討を行いました。

試料の暗視野STEM写真を図2に示します。同一視野のEELSマッピングを行い、ピクセル毎のスペクトルの二次微分から求めたLi-K由来と考えられる成分を図3に示します。強度が高い部分が粒子単位(図2中矢印部)で認められました。電子線回折より、矢印部の粒子はLiCoO2、他の粒子はCo3O4にそれぞれ対応することが確認されました。

図2:暗視野STEM写真 図3:EELSマップ
図2:暗視野STEM写真 図3:EELSマップ
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