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M211

カーボンブラックの電子線損傷の低減

電子顕微鏡分析は、ナノメートルレベルの局所領域の微細構造、結晶、組成などの情報が得られる有用な手法です。しかしながら、カーボンナノ材料や有機分子などは電子線ダメージを受けやすいため、電子線照射による影響を最小限に抑える必要があります。

ここでは、カーボンブラック(以下、CB)への電子線照射実験を行い、加速電圧の違いによる電子線損傷について調べました。下図に加速電圧30kVおよび120kVにてCBに50分間電子線照射した前後の暗視野STEM写真を示します。

加速電圧120kVで電子線を照射した場合は、照射前に比べ照射後50分ではCBが著しく減少することが確認されました。一方、加速電圧30kVでは、電子線照射後においてもCBの大きさは殆ど変化していません。加速電圧を30kVにすることで、電子線による原子のはじき出し(ノックオン現象)を低減したと推測されます。このように、加速電圧を低加速化することにより、電子線損傷に対して低減効果があることが分かります。

図:カーボンブラックの電子線照射実験(黄色破線は電子線照射0minの輪郭形状)

図:カーボンブラックの電子線照射実験(黄色破線は電子線照射0minの輪郭形状)

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