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M220

炭素繊維強化プラスチックのEELSラインプロファイル測定

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は軽量かつ高強度の材料であり、様々な分野に応用されています。炭素繊維と樹脂の界面接着性が材料強度に大きく影響するため、界面近傍の化学結合状態解析は重要な評価となります。

図1にCFRPの断面STEM像を示します。炭素繊維/樹脂界面の矢印部に対応するC-KエッジのEELSラインプロファイルを10nm間隔で測定し、測定位置に対応したスペクトルの変化を図2に示します。

図2:EELS スペクトルの位置変化 C-K

図2:EELS スペクトルの位置変化 C-K

図2のEELSスペクトルにおいて特徴的な二つのピークが認められ、それぞれ1s→π*と1s→σ*という電子遷移に相当すると考えられます。炭素繊維と樹脂では上記二つのピーク形状と強度比に違いが認められます。これは両者で、sp2結合割合(S494 参照)や結合種などの化学状態が異なるためと考えられます。ただし、炭素繊維と樹脂の界面に、明らかに化学状態が異なる層は認められませんでした。さらに、炭素繊維表面と内部、樹脂の炭素繊維近傍とバルク部における化学状態の違いに着目して解析することも可能です。

図1:断面STEM像

図1:断面STEM像

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