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O1601

マトリックス支援レーザー脱離イオン化-タンデム飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF/TOF-MS)

1. メーカー・型式

ブルカー・ダルトニクス製     rapifleX TOF/TOF

2. 原理・特徴

MALDI法はESI法と並ぶ代表的なソフトイオン化法で、従来のイオン化法では壊れやすかった大型の生体分子(タンパク質、ペプチド、糖鎖)などの質量分析が可能となります。マトリックスを混合した試料はレーザー照射によりイオン化され、電圧印加によりそれぞれのイオンの質量数に応じた速度でTOF部を飛行します。イオンは同じ飛行距離を質量数固有の飛行時間で検出器に到達しますので、この時間を観測することにより質量スペクトルを得ることができます。また、CIDを用いたMS/MS測定や、薄膜切片のイメージングMS測定を行うことも可能です。

3. 性能・仕様

MS/MS測定およびイメージングMS測定が可能
ポリマー解析、タンパク・ペプチド同定が可能
イオン化法 MALDI
分解能 30,000以上(m/z 3,000、Reflectorモード)
質量精度 5.0 ppm以内(m/z 1,619、外部標準、Reflectorモード)
質量範囲 m/z 1-1,000,000(Linearモード)
m/z 1-12,000(Reflectorモード)
感度 S/N > 100(500 fmol、BSA、Linearモード)
S/N > 200(250 amol、Glu-Fib、Reflectorモード)
写真:装置の概観

写真:装置の概観

4. 測定試料

対象試料 有機物(液体、固体)、タンパク、合成ポリマー
試料量 数ml、数mg

5. 分析依頼時の留意点

  • 溶媒に溶解または分散しない試料は、測定が困難な場合があります
  • 基本的に、ヘテロ元素(N、Oなど)を含む成分が対象です

6. 応用分野

  • 有機材料の分子量決定・構造解析
  • 合成ポリマーの組成・末端基解析
  • タンパク、ペプチド、微生物の同定
  • 工業材料、生体組織中の分子の局在解析(イメージングMS)

7. 適用例

ペプチド

ペプチドスタンダード(混合物)のMS測定(Reflectorモード)を実施しました。

図1:ペプチドスタンダードのマススペクトル

図1:ペプチドスタンダードのマススペクトル

ペプチド(マストパラン)のMS/MS(CID)測定を実施しました。フラグメントイオンがアミノ酸間隔で検出されました。ライブラリ検索からペプチドの同定を行うことも可能です。

図2:マストパランのプロダクトイオンスペクトル

図2:マストパランのプロダクトイオンスペクトル

タンパク

アルブミンのMS測定(Linearモード)を実施しました。(M+H)+、(2M+H)+ 、(3M+H)+ および(M+2H)2+が検出されています。ISDという測定手法を用いることにより、ライブラリ検索からタンパクの同定を行うことも可能です。

図3:アルブミンのマススペクトル

図3:アルブミンのマススペクトル

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