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O305

熱分解GC/MSを用いた微小黒色ゴムの分析

一般的に異物分析では赤外測定が行われますが、黒色ゴムが異物の場合は添加されているカーボンのために明瞭な赤外吸収が得られず、ゴム成分の定性が困難となります。特に異物が微量である場合は熱分解GCMS分析が極めて有効な手段となります。ゴム成分や添加剤由来の熱分解生成物を観察することで特定が可能となります。

以下に実施例を示します。

実施例1:黒色ゴム異物と参照品のFT-IR測定結果

図1:黒ゴム異物のFT-IRスペクトル

図1:黒ゴム異物のFT-IRスペクトル

図2.参照品XのFT-IRスペクトル

図2.参照品XのFT-IRスペクトル

図3:参照品YのFT-IRスペクトル

図3:参照品YのFT-IRスペクトル

図4:参照品ZのFT-IRスペクトル

図4:参照品ZのFT-IRスペクトル

図1〜4の赤外スペクトルではゴム成分由来の吸収が弱く、ゴム成分の特定は困難であります。参照品のうちではZがかなり似ているが特定の根拠としては弱く、他の分析手段による検討が必要となります。

実施例2:黒色ゴム異物と参照品の熱分解GCMS分析結果

図5:黒ゴム異物の熱分解GCMSクロマトグラム

図5:黒ゴム異物の熱分解GCMSクロマトグラム

図6:参照品Xの熱分解GCMSクロマトグラム

図6:参照品Xの熱分解GCMSクロマトグラム

図7:参照品Yの熱分解GCMSクロマトグラム

図7:参照品Yの熱分解GCMSクロマトグラム

図8:参照品Zの熱分解GCMSクロマトグラム

図8:参照品Zの熱分解GCMSクロマトグラム

この分析では黒色ゴム中に添加されている展開油に注目して熱分解を行ったが、試料と同じ成分が参照品Zで認められました。

この結果、黒色ゴムは参照品Z由来のものと判明いたしました。またゴム成分由来の熱分解生成物を解析してもゴム成分の特定は可能です。

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