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NCI-MSによるトリフルラリンの分析

マススペクトルから構造解析を行うには、分子量に関連する情報の取得が重要です。つまり、分子イオンや分子量関連イオンの情報が構造解析に必要となります。今回、NCI(ネガティブモード化学イオン化)-MS分析によるハロゲン元素含有化合物の分子イオン情報の取得を検討しました。

NCI-MS分析は、電気陰性度の高いハロゲン元素を持つ化合物に有効です。以下にトリフルラリン(1)のNCI-MS分析(直接導入法)の例を紹介します。

図:トリフルラリンの化学式

図1にトリフルラリンのNCIマススペクトルを示しました。スペクトルには、m/z335の分子イオン(M-)が強く検出され、ノミナルマス(天然存在比最大の同位体からなる整数質量)が335であることが判別できました。

図1:トリフルラリンのNCIマススペクトル

図1:トリフルラリンのNCIマススペクトル

一方で、PCI(ポジティブモード化学イオン化)-MS分析を行い、そのマススペクトルを図2に示しました。通常良く用いられる手法ですが、分子量関連イオンであるm/z336のプロトン化分子[(M+H)+]の強度は弱く、分子量の判定は困難です。

このように、NIC-MS分析は、電気陰性度の高いハロゲン元素を持つ化合物に有効であることがわかります。本手法によって、化合物ライブラリー検索では構造推定できない不明化合物の構造解析に際し、重要なノミナルマスの情報取得が可能となります。

図2:トリフルラリンのPCIマススペクトル

図2:トリフルラリンのPCIマススペクトル

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