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O508

イオンモビリティ分離によるスルホン酸化合物の分析

イオンモビリティ分離(IMS)とは、イオン化された化合物を、その嵩高さ(衝突断面積)によって分離する手法です。気体状のイオンがN2ガスで満たされたIMSセルを通過する際、嵩高い化合物ほどN2分子との衝突が頻繁に起こり、移動度が低下します。それにより生じる通過時間(Drift Time)の差により化合物を分離できます。質量分析(MS)と組み合わせることで、分子量が同一の成分の分離分析や、イオンの立体構造の解析が可能となります。

ここではIMS-MSによるスルホン酸化合物の分析例を紹介します。分子量が208である1–ノナンスルホン酸と2–ナフタレンスルホン酸は、直接導入–質量分析法(DI-MS)においてイオンが近接するため、同位体パターンを用いる組成推定やMS/MSでのプレカーサーイオンの選別が困難となります(図1)。しかし、IMS–MSでは両者の立体構造の違いを識別し、ドリフトタイムで分離することが可能となるため(図2)、図3に示すようにそれぞれの化合物ごとのマススペクトルに分離して組成推定を行うことができます。 さらに、MS/MS測定により、それぞれの構造解析を行うことも可能です(図4)。

また、IMSを液体クロマトグラフィー(LC)分離と組み合わせることで、LCで分離できない異性体などの定性分析にも威力を発揮します。

図1:スルホン酸混合試料のマススペクトル(上段)及びプロダクトイオンスペクトル(下段)

図1:スルホン酸混合試料のマススペクトル(上段)及びプロダクトイオンスペクトル(下段)

図2:スルホン酸混合物の2Dプロット(Drift Time vs. m/z)

図2:スルホン酸混合物の2Dプロット(Drift Time vs. m/z)

図3:IMS-MSによるスルホン酸化合物のマススペクトル及び精密質量による組成推定結果

図3:IMS-MSによるスルホン酸化合物のマススペクトル及び精密質量による組成推定結果

図4:IMS-MS/MSによるスルホン酸化合物のプロダクトイオンスペクトル

図4:IMS-MS/MSによるスルホン酸化合物のプロダクトイオンスペクトル

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