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O533

HSQCスペクトル(高分解能2次元NMR測定法)

NMRは、有機化合物の構造解析に有効な分析法です。NMRにて構造解析を行うにあたっては、水素と炭素の位置関係を調べていくことにより、解析が行われることが一般的です。直接結合している水素と炭素を調べるために一般的によく用いられる手法の1つとして、HMQC(Heteronuclear Multiple Quantum Correlation)と呼ばれる2次元NMR測定手法があります(技術資料「NMRにおけるHMQCスペクトル」参照)。HMQCは相関シグナルをより確実に検出できるという特長を持っている一方で、炭素シグナルの重なりが多い場合に分解能が足りず、どの炭素がどの水素と結合しているのか、判別できないことがあります。そのような場合には、より高い分解能での測定が可能なHSQC(Heteronuclear Single Quantum Correlation)と呼ばれる測定法が有効です。

一例として、図1、2にアントシアニンの一種である塩化ケラシアニンのHMQCおよびHSQCスペクトルを示します。HMQCと比較して、HSQCの相関シグナルはより明確であることが分かります。ただし、HSQCの欠点として、シグナル強度の低下などを生じる場合もあるため、状況に応じた測定手法の選択が必要となります。

塩化ケラシアニン(アントシアニンの一種)

塩化ケラシアニン(アントシアニンの一種)

図1:塩化ケラシアニンのHMQCスペクトル 図2:塩化ケラシアニンのHSQCスペクトル
図1:塩化ケラシアニンのHMQCスペクトル 図2:塩化ケラシアニンのHSQCスペクトル
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