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O534

Edited-HSQCスペクトル(DEPT機能を追加したHSQCスペクトル)

NMRは、有機化合物の構造解析に有効な分析法です。NMRにて構造解析を行うにあたっては、水素と炭素の位置関係を調べていくことにより、解析が行われることが一般的です。直接結合している水素と炭素を調べるために一般的によく用いられる手法として、HMQC(Heteronuclear Multiple Quantum Correlation)(技術資料「NMRにおけるHMQCスペクトル」参照)とHSQC(Heteronuclear Single Quantum Correlation)(技術資料「HSQCスペクトル(高分解能2次元NMR測定法)」参照)と呼ばれる2次元NMR測定手法があります。これらの測定手法のパルス系列は比較的簡単に編集することが可能で、例えばHSQCにDEPT系列を組み込む編集を行うことでDEPT135°(技術資料「13C-NMRスペクトル(DEPT法)」参照)に相当する機能を付与することができます。この編集されたHSQC(Edited-HSQC)においては、DEPT135°のようにCHやCH3の相関を正、CH2の相関を負として検出することができます。そのため、CHとCH2の相関が込み入った化合物、例えば、糖構造を持つ化合物の構造解析を行いたい場合にそれらの帰属をより明確に行うことができます。

一例として、図1、2にアントシアニンの一種である塩化ケラシアニンのHSQCスペクトルおよびEdited-HSQCスペクトルを示します。混み合ったCH、CH2相関シグナルもEdited-HSQCスペクトルでは明確に判別できていることが分かります。ただし、Edited-HSQCスペクトルの欠点として、正の相関と負の相関が重なり、打ち消しあってしまうことがあるため、注意が必要となります。

塩化ケラシアニン(アントシアニンの一種)

塩化ケラシアニン(アントシアニンの一種)

図1:塩化ケラシアニンのHMQCスペクトル 図2:塩化ケラシアニンのEdited-HSQCスペクトル
図1:塩化ケラシアニンのHMQCスペクトル 図2:塩化ケラシアニンのEdited-HSQCスペクトル
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