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P298

高感度反射測定による金属表面上薄膜層の分析

高感度反射法は試料表面に水平に近い80°の赤外光の平行波(P波)をあて偏光測定する方法で、増強された反射光を高感度で検出するものです。反射測定のため試料は金属表面の微量成分や薄膜層である必要があります。樹脂や無機物表面では赤外光の透過や散乱が生じ明瞭なスペクトルは得られません。本法は正反射法に比べ数〜10倍程度の検出感度がありますが、絶対量が極小の場合には検出不能なこともあります。

以下、実施例として金属表面のPET薄膜層の高感度反射測定結果を示します。

図1:金属表面PET薄膜層の高感度反射測定他のIRスペクトル

図1:金属表面PET薄膜層の高感度反射測定他のIRスペクトル

測定条件 サーモフィッシャーサイエンティフィック製FT-IR
高感度反射ユニット Smart Saga(入射角 80°、平行波)
分解能4cm-1

注)正反射測定:同機種Avatar370、顕微-反射測定:同機種Continuμm

金属表面PET薄膜層の同一部位を正反射、顕微-反射、高感度反射測定しました。得られた結果には大きな差があり、正反射、顕微-反射法のスペクトルは明瞭ではなく成分の特定には至りません。一方、高感度反射法ではPETの明瞭なスペクトルが得られています。

このように高感度反射測定は金属表面の微量成分や薄膜層を解析する場合に、極めて有効な手段であると言えます。

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