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P315

微小領域の動的粘弾性評価(ナノインデンテーション)

図1:粘弾性測定の原理

図1:粘弾性測定の原理

図2:粘弾性測定モード(a)周波数特性測定 図2:粘弾性測定モード(b)連続測定

図2:粘弾性測定モード

高分子材料において弾性と粘性は重要なパラメーターであり、一般的に周波数依存や温度依存を調べる。

ナノインデンテーション試験において、押込み圧子に動的信号を加え(図1中の赤線)、変位の応答(図1中の青線)を測定する。これより、変位と動的荷重の関係が分り、粘弾性特性が算出される。
ここで、kcは試料の剛性、Ccは試料の粘性、Apは圧子の接触投影面積である。

式(1)
式(2) 式(3)

粘弾性測定モードを図2に示す。周波数特性測定モード(図2(a))では、荷重一定で周波数を変化させることにより周波数の依存性を調べる。一方、連続測定モード(図2(b))では、周波数一定条件下で荷重を変化させる。後者において、荷重変化は圧子押込み深さの変化と対応しているため、得られる粘弾性の値には深さ情報が含まれる。

連続測定モードにより求めたエポキシ表面近傍の貯蔵弾性率と損失弾性率の変化を図3に示した。大気中に放置することにより表面近傍の変質が進んでいることが確認された。なお本測定で得られる粘弾性は表面からの押込み深さまでの情報を含むため、本データより深さ方向を議論する際は注意が必要である。

図3:表面近傍の貯蔵弾性率と損失弾性率の変化

図3:表面近傍の貯蔵弾性率と損失弾性率の変化

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