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溶融ポリマーのマスターカーブ作成と流動の活性化エネルギーの算出

溶融粘弾性測定装置(ARES−G2:TA・インスツルメント・ジャパン社製)を使用し、動的粘弾性測定(周波数依存性測定)を行うことでマスターカーブ作成と流動の活性化エネルギーを算出することができます。この解析は、温度・時間換算則に基づいて行います。温度・時間換算則の概念は、基準温度より低温側や高温側の測定を行うことで基準温度での測定範囲外の弾性率(G’、G”)や複素粘性率(η*)をマスターカーブで予測できます。

測定例(試料:ポリプロピレン)と解析例を(1)〜(3)に示します。

  1. 貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)及び複素粘性率(η*)の周波数依存性測定(温度3点重ね書き:図1)
  2. G’、G”、η*の周波数依存性のマスターカーブ:190℃基準(図2)
  3. 図2のマスターカーブ作成時のシフトファクター(aT)からアレニウス式により流動の活性化エネルギーを算出(図3)
図1:PPの弾性率と複素粘性率の周波数依存性(重ね書き)

図1:PPの弾性率と複素粘性率の周波数依存性(重ね書き)

測定条件

装置 溶融粘弾性測定装 ARES-G2(TA・インスツルメント・ジャパン社製)
ジオメトリー コーン&プレート25mmφ(コーンアングル:0.1rad.=5.7°)
動的測定、周波数範囲 400〜0.01rad/sec、ひずみ:10%設定
測定間隔 5points/decade
測定温度 190、210、230℃
雰囲気 窒素気流中
図2:G’、G”、η*のマスターカーブ(190℃基準)

図2:G’、G”、η*のマスターカーブ(190℃基準)
(230℃を基準にすれば、実測よりも高周波数の予測線が描ける。)

図3:シフトファクター(aT)と活性化エネルギーの算出結果

図3:シフトファクター(aT)と活性化エネルギーの算出結果

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