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S259

高分解能HAADF-STEM像

HAADF(High-Angle-Annular-Dark-Field)-STEMは細く絞った電子プローブで試料上を走査しながら散乱した透過電子を検出する手法です。ドーナツ形状の検出器を用いて大きく散乱した電子(50mrad以上)を検出するため、試料の結晶に関する情報は得られない代わりに組成情報を良く表す特徴があります(S249参照)。試料の結晶情報をほとんど得ていないにも関わらず、電子プローブを結晶格子間隔に匹敵するまで絞ることにより、原子の並びを直接観察することが可能になります。

日本電子製JEM-2010F(加速電圧200kV)で測定したSi[110]のHAADF-STEM像(フーリエフィルタ処理)を図1に示します。

次に、高分解能HAADF-STEM像中における原子位置を確認するため、高分解能電子顕微鏡像シミュレーションプログラム(HREM社製 WinHREM)を用いて像計算を行いました。集束半角15mrad、球面収差係数1.0mm、デフォーカス量-20nm、サンプル厚さ約20nmでの計算像を図2(a)に、計算に用いたSiの原子位置を図2(b)中に白丸で示します。

図1:HAADF-STEM像(フーリエフィルタ処理) 図2:(a) 計算像、(b) Si原子位置
図1:HAADF-STEM像(フーリエフィルタ処理) 図2:(a) 計算像、(b) Si原子位置

図2のHAADF-STEM計算像は図1の実験像を良く再現しており、両者の比較から図1中の白い部分が原子位置に相当することが分かります。このことから、本測定に用いた電子プローブは2Å以下に絞られていると考えられます。

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