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S364

単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の高コントラスト測定

SWCNTは一枚のグラフェンシートが筒状に巻いたものであり(図1)、電子との相互作用が小さいため、明瞭な透過電子顕微鏡(TEM)観察が困難です。ALDRICH社製SWCNTのTEM写真を(図2)に示します。SWCNTは元々弱いコントラストであることに加えて、真空部分にみられるバックグランドノイズの影響でノイジーな像となっています。S/N向上のためには入射電子を増やし、露光時間を長くする手段が考えられますが、それぞれ電子線ダメージと試料ドリフトの影響が懸念されます。

CCDカメラ(Gatan model894)で(図2)と同一時間露光した複数枚のTEM写真について、試料ドリフトを補正して重ね合わせる(図3)ことにより、像のS/Nを向上させました*1(図4)。真空部分のノイズが小さくなり、相対的にSWCNTのコントラストが強くなっていることが分かります。

図1:SWCNTのモデル図 図2:TEM像
図1:SWCNTのモデル図 図2:TEM像
図3:TEM像の積算イメージ 図4:積算による高コントラストTEM像
図3:TEM像の積算イメージ 図4:積算による高コントラストTEM像

*1 A. Hashimoto, K. Suenaga, A. Gloter, K. Urita and S. Iijima, Nature 430, 870(2004)

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