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S405

SIMS測定における妨害イオン除去法 (2) (高質量分解能測定)

SIMS分析では、ある特定の二次イオンを検出する場合、それとほぼ等しい質量数を持つイオン(妨害イオン)を分離して測定する必要があります。分子イオン、多価イオンの多くは原子イオンに比べて狭いエネルギー分布を持つことから、エネルギーオフセット法(SIMS測定における妨害イオン除去法)がよく用いられますが、30Si1H(妨害イオン)の様に、31P(目的イオン)とほぼ同様なエネルギー分布を持つものは、この方法による測定では、目的とするイオンのみを分離して検出することが出来ません。

この場合には、高質量分解能測定モードを用いて31Pと30Si1Hの質量差(0.008amu:M/ΔM=3961)を分離して検出します。高質量分解能モードを得るには、感度がそれ程落ちない程度に、二次イオンのスリット像と二次イオン強度を確認しながら入口スリット、出口スリットを調整します。そして、マスキャリブレーション時に目的イオンと妨害イオンの信号が分離できていることを確認した後に、測定を行います。図1に通常の質量分解能(M/ΔM=300)で測定したSiマトリクス中の31Pのデプスプロファイル測定結果を、図2に高質量分解能で測定した結果を示します。この場合に、通常の質量分解能での測定における検出下限濃度は1017atoms/ccオーダーでありますが、高質量分解能測定における検出下限濃度は約6×1014atoms/ccと3桁程度、検出下限濃度が下がります。

この他に高質量分解能測定が必要な測定例としては、Siマトリクス中の56Fe(妨害イオン:28Si2)、InPマトリクス中の32S(妨害イオン:31P1H)、AlGaAsマトリクス中の28Si(妨害イオン:27Al1H)の測定などがあります。

図1:通常測定によるSiマトリクス中の31Pのデプスプロファイル 図2:高質量分解能測定によるSiマトリクス中の31Pのデプスプロファイル
図1: 通常測定によるSiマトリクス中の
31Pのデプスプロファイル
図2: 高質量分解能測定によるSiマトリクス中の
31Pのデプスプロファイル
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