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SE142

細胞毒性試験(コロニー形成阻害試験)について

細胞毒性試験には多様な方法がありますが、ここでは、コロニー形成阻害試験について紹介します。本試験法の概要を図1に示しました。本試験法は、単個細胞がコロニーへと生育する増殖能を利用し、そのコロニーを計数することで、高い検出感度で定量的に細胞毒性を評価することができます。抽出法では試験試料(例えばプラスチックやゴム・樹脂の素材あるいはその製品など)を培地で抽出し、評価を行います。その抽出液あるいは直接添加した物質に毒性がある場合、細胞は増殖能を失いコロニーが形成されなくなります。その毒性値の指標として、コロニー形成率を50%阻害する濃度(IC50値)をグラフから算出します。また、試験が適切に行われたかどうかは、毒性が既知の対照材料及び対照物質を同時に試験して確認しますが、用いる2種類の対照材料(弱い細胞毒性を示す対照材料B及び中程度の細胞毒性を示す対照材料A)のIC50値の相対的位置から試験試料の組織刺激性の程度が予測できることも本試験法の特徴です(表1)*1。本試験法は国際規格であるISO10993-5のAnnex Bに記載されており*2、我が国においては医療機器*1及び医薬品容器*3の安全性試験に用いられています(表2)。当社では、本試験法において多種多様な試料について豊富な実績がございます。

図1:コロニー形成阻害試験の試験手順概要

図1:コロニー形成阻害試験の試験手順概要

表1:細胞毒性強度と組織刺激性との相関 *1
IC50 予測される生物学的反応
100%以上 細胞毒性は無いか非常に弱い
対照材料Bより弱い 弱い細胞毒性
弱い眼粘膜刺激が起こりうる
対照材料AとBの中間 中程度の細胞毒性
粘膜組織に対しても炎症反応がおきる場合がある
対照材料Aより強い 強い細胞毒性
筋肉組織に対して炎症反応がおきる可能性高い
表2:コロニー形成阻害試験の評価基準
  評価基準
医療機器 *1 100%抽出液のコロニー形成率がコントロールに対して30%を超えて低下した場合に細胞毒性作用有りと評価
日本薬局方 品質規格*3
プラスチック製医薬品容器
輸液用ゴム栓
IC50値が90%以上で適合

*1 平成24年3月1日薬食機発0301第20号 医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について 第1部 細胞毒性試験

*2 ISO10993-5 “Biological evaluation of medical devices Part 5: Tests for in vitro cytotoxicity”

*3 平成28年3月7日 厚生労働省告示第64号 第十七改正日本薬局方 7.02 プラスチック製医薬品容器試験法の1.7. 細胞毒性試験及び7.03 輸液用ゴム栓試験法の4. 細胞毒性試験

*4 チャイニーズハムスター肺由来線維芽細胞(JCRB0603)、L929(JCRB9003)細胞も使用可

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