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X112

蛍光X線ファンダメンタルパラメータ法による定量分析

蛍光X線のエネルギーは元素に固有であり、その強度は試料中の元素含有量に関係している。そのため、標準試料を用いて蛍光X線強度と元素含有量の関係を求めておくことによって、定量分析を行うことができる(検量線法)。ただし、共存元素による吸収・励起効果などの影響が複雑であるため、標準試料の組成は、未知試料の組成と近いことが必須である。しかしながら、実際にそのような標準試料を用意するのは難しく、相当な労力を要する。


そこで、この問題を解決するために考案された方法が、ファンダメンタル・パラメータ法(Fundamental Parameter法、FP法)である。このFP法は、構成元素の種類と量から、理論的に蛍光X線強度が計算できることを利用して、実測の蛍光X線強度に一致するように組成を推定する方法である。


図:装置概観

図:装置概観

弊社で使用しているFP法プログラムSQXは、共存元素の影響だけでなく、試料の性状や装置定数等も理論的に考慮し、30分程度でホウ素からウランまで(試料の形態によってはフッ素からウランまで)の元素を測定・定量することが可能である。


ステンレス鋼と合金鋼について、FP法による定量分析を行った結果を下表に示す。


装置 : Rigaku製 ZSX Primus 蛍光X線分析装置

ステンレス鋼
(wt%)
  C Si Mn P S Cu Ni Cr Mo
標準値 0.055 0.66 0.37 0.023 0.005 0.080 0.24 16.45 0.011
FP法 N.D. 0.61 0.35 0.021 0.014 0.083 0.21 17.46 0.012
合金鋼
(wt%)
  C Si Mn P S Cu Ni Cr Mo V
標準値 0.24 0.23 0.77 0.049 0.018 0.13 1.06 1.10 1.26 0.22
FP法 N.D. 0.25 0.85 0.043 N.D. 0.12 0.97 1.17 1.39 0.23
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