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洞窟探検でアメリカ人の体力に舌を巻いた話 - U.S.A -

No.385/2010.01
宇部興産機械(株)/ 渡辺 浩二
画:クロイワ カズ

アメリカ人は冒険好きですが、その1つにケービングというのがあります。いうなれば洞窟探検。ミシガンに駐在中、週末に会社の同僚に誘われ、秋芳洞のイメージで出かけることに…メンバーはオフィスの男女スタッフ数人とその家族や友だちの総勢10名。女子高生もいますが、日本人は私だけです。

目的地はケンタッキー州のサマセット・ケーブ。マイクロバスで現地に行き前泊。翌朝、完全装備で洞窟に入りました。ピクニック気分で中に入った途端驚きました。通路がない!照明もなく中は真っ暗。時折、気味の悪いコウモリが耳元に。まさに地獄!リーダーが手作りの地図を片手に先導します。水の流れる岩肌を手探り進むと、身体を横にして何とかくぐれるほどの岩穴が続きます。今度は、切り立った岩の隙間に出ました。スロットと呼ばれる危険個所。指先とつま先を岩の凹みに懸けながら下ります。スリルを味わうどころか、口の中はカラカラに渇き、滴り落ちる汗を拭く余裕もありません。迷子にならないよう、ついていくのがやっと。

5時間ほども歩いたでしょうか、漸く出口の光が見えてきました。が、実はそこが最大の難所。10メートルもある垂直の竪穴をロープの結び目に足をかけて登るのです。みんな尺取虫のように上手に登っていきます。女子高生も登りました。先に上がった連中が出口の穴の上から励ましてくれます。が、疲労困憊の私はロープに手をかけたものの身体を持ち上げることができません。最後は、みんなに引き上げてもらいました。

翌日、オフィスでは手足の筋肉痛で歩くのもおぼつかない状態。一緒に行ったアメリカ人スタッフたちは平然と仕事をしています。体力には多少自信があったのですが、恥ずかしいやら情けないやら。二度とケービングには参加しないと心に誓いました。