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本場のスパゲティに感動した話 - ITALY -

No.387/2010.03
化成品・樹脂カンパニー/ 駒 明夫
画:クロイワ カズ

入社してから40年、海外向けの仕事が多かった関係で、50以上の国々を訪問したと思います。外国での心配の1つは食事。私は縦メシ(日本食)派。横メシにはあまり興味はなかったのですが、「これは美味い!」と感動した1品があります。

入社直後の研修で訪れたローマ。とあるレストランで昼食をとることになりました。その時に出されたスパゲティのアルデンテの歯ごたえは今も忘れません。恥をしのんでメインコースをキャンセルし、パスタのお代わりを頼みました。「アルデンテ」は今では日本語化した感がありますが「デンテ」は「歯」の意味。イタリア人はパスタの歯ごたえを楽しむのです。硬さは茹で方で決まります。芯の部分が僅かに残る微妙なコシの強さと麺をオリーブオイルでコートした滑らかさ。この2つのコンビネーションが絶妙の歯ごたえを生むのでしょう。

その後、ドイツ、フランス、北欧、北米などでスパゲティを注文しましたが、あのローマのアルデンテに叶うものはありませんでした。一度ミラノで食べたスパゲティは少し軟らかめでした。北イタリアは生麺を使うからでしょう。だけど、私が「少し軟らかい」というと、ウェーターが即座に交換してくれました。今度は乾麺を茹でたとみえて私にはピッタリのアルデンテ。こんなサービスは他の国では見られません。それどころか、某所で食べたものは二度も交換してもらったのに、どれも同じフニャフニャ麺。やはりスパゲティは本場に限る。

麺類大好きの私は数年前から蕎麦打ちを始めました。同じコシの強さでも蕎麦とスパゲティでは多少異なります。蕎麦の素朴さとスパゲティのバタ臭いところを上手く組み合わせて和洋折衷の理想麺を作り、それをアルデンテで味わってみたい。それが私の夢です。