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初めての出張でアラビア語が通じた話 - DUBAI -

No.412/2012.04
宇部興産海運(株)/ 矢野 哲
画:クロイワ カズ

10年ばかり前のこと、初めてアラブ圏に出張しました。アラブ首長国連邦のドバイです。私は海外出張する時、必ず現地の言葉で簡単な挨拶を覚えていくようにしています。交渉をスムーズに運ぶためのコツなのです。

だけど、アラビア語は難しい。文字はハナから諦めました。片仮名で覚えるのも容易ではありません。とりあえず、3つの挨拶に絞りました。
・シュクラン(ありがとう)。
・イスミー・ヤーノー(私の名前は矢野です)。
・アッサラーム・アライクム(こんにちは)。但し、相手から先に言われた場合には、お返しの「こんにちは」は「ワ・アライクム・サラーム」というのだそうです。

成田からバンコク経由でドバイまでの15時間、メモを見ながら練習しました。念仏を唱えるように繰り返し、何とかモノにした頃、ドバイ空港に到着。

翌朝、船会社の代理店で早速試してみました。
「アッサラーム・アライクム!」ところが、相手はインド人。「???」の反応の後、英語で説明してくれました。こちらで仕事をしているのは殆どインド人かバングラデシュ人で、アラビア語は一切不要。英語で十分だというのです。確かに仕事は英語で順調に進みました。そして最終日、ゴルフに誘われたのです。かんかん照りの下でゴルフ?でもナイター設備があるといいます。

『ナド・アル・シバ・クラブ』は競馬場とゴルフ場が併設された立派な施設でした。スコアは散々でしたが、嬉しいことがありました。クラブの廊下でお茶を飲んでいるアラブ人と思しき男たちに「アッサラーム・アライクム」をトライしたのです。すると、彼らの返事は「ワ・アライクム・サラーム」。これで、あの15時間が報われました。シュクラン!