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アメリカの青春映画を生で観た話 - U.S.A. -

No.444/2014.12
宇部マテリアルズ(株)/ 出光 隆
画:クロイワ カズ

NPE(国際プラスチック見本市)は3年に一度開催される、世界最大規模のプラスチック関係のフェアです。世界各国から数千社の企業が参加し、10万人近い来訪者があります。2012年4月、フロリダ州・オーランドでのNPEに出展企業として参加しました。期間中、展示場の小間に詰めて来訪者のアテンドをするのですが、アフター・ファイブはフリーです。

ある夜、同僚と2人で街のパブに入りました。野外ステージでは生演奏をやっています。中と外で200人ほどの客が居てとても賑やかで、開放的な気分です。室内の大きな丸テーブルに席を占めました。右前の席に若い二人連れが居ました。女性はブロンドのポニーテール。どうしてもそちらに目が行きます。連れのハンサム男はトイレでしょうか、席を外しました。そこへ、注文のドリンクが運ばれてきました。ウェイターは20前後のノリの軽そうな青年。その彼が、手に持ったドリンクをブロンド娘の前に置いたかと思うと、その手を素早く彼女の頭に回して、あろうことか、頬にキスしたのです。驚いたブロンド娘はオロオロするばかり。そこへハンサム男が戻ってきました。修羅場が始まる雰囲気です。

彼女から一部始終を聞いた男は怒り心頭、いきなりウェイターの青年に殴りかかりました。ウェイター君は謝るどころか健気に抵抗。周囲の客は止めに入ろうとはせず、掛け声で囃したてます。ハンサム男にエールを送っているのです。ウェイター君、自分に分がないことを悟ったのでしょうか、すごすごと引き下がりました。ハンサム男は、傍で固唾をのんでいたブロンド娘の手を取って、急かすように店から出て行きました。

ホンの10分足らずのドラマでしたが、本場の青春映画のひとコマを見たようで、エキサイティングでした。