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日本の芸能人の人気を中国で確認した話 - CHINA -

No.485/2018.05
宇部エクシモ(株)/ 松枝 辰
画:クロイワ カズ

宇部エクシモは中国の無錫に現地会社を有し、『ラセンコンポーズ』という光ケーブルの保護材を生産しています。従業員70名、日本人は総経理のWさんだけです。この現地会社と本社間の円滑なコミュニケーションと従業員相互の親睦をはかるため、毎年1月、現地ホテルの宴会場を借りきって盛大な忘年会を開催します。これには、東京の本社から幹部数名を含む日本人10名ほどが参加します。昨年の会には私も出かけました。

「松枝さん、隠し芸を考えておいてね。あなた、PPAP何とかという芸人に似ているという評判だから」

事前にWさんから囁かれた言葉が気になっていました。忘年会のメイン・イベントとして、本社から参加の幹部が隠し芸を披露する場面があるのです。私は、ピコ太郎に似ていると言われたこともあります。ということは、私にあのPPAPダンスをやれということなのか。

出発前に少し家で練習しましたが、衣装やヒゲがなくてはサマになりません。これは諦めて、無錫旅情でも歌うか、と軽い気持ちで現地のホテルに着きました。早速、現地スタッフの一人が大きな紙袋を差しだします。「これ全部、我々が準備しました。こちらで買えました」

中には、例の金ラメ衣装、眼鏡、着けヒゲ…。伴奏のミュージックまで手配済みとか。ここまで準備されてはやらないわけには行きません。出番まで時間を見つけて大特訓。幹部の挨拶、プロの歌や踊りに続いて、いよいよ私の出番です。PPAP衣装で舞台に立つと一斉に拍手。顔から火が出そうでしたが、夢中で踊りました。

大きな失敗もなく終わると、やんやの喝采。「ピコタロー!」という掛け声も。

ピコ太郎の名前は間違いなく、ラセンコンポーズ以上に中国に浸透しています。