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米国では和菓子は爆発物?という話 - USA -

No.489/2018.09
経営管理室・IR広報部/ 加藤 敦久
画:クロイワ カズ

2年前の11月、北米の投資家たちに業績を説明する目的で訪米する、経営トップに随行することになりました。投資家を歴訪した後は、恒例により現地の駐在員事務所やグループ会社を訪れて親睦を図ります。お土産を用意するのは随行員の役目。日本の香りを届ける、洒落たデザインの高級モナカを三箱買いこみました。形が崩れないように、バッグに入れ機内持ち込みにしました。

最初の目的地はボストン。適当な直行便がなく、シカゴ経由です。到着遅れを心配しましたが、幸い天候はよく、定刻に到着。後は国内線で2時間ほどのフライトです。ここまで来れば楽勝と思ったのも束の間。国内線の手荷物検査で私が引っかかりました。役員たちを待たせるだけでも気まずいのに、係官はやけに慎重に荷物をスキャンしています。何やらモナカの箱が気になっている様子で、きれいなまま持ち込んだ包装紙が次々に破られていきます。このままでは、せっかく準備したモナカの個包装まで開けられてしまう。思わず適当な英語を並べて叫びました。「ジャパニーズ・スイーツ。ジャスト・フォー・プレゼント!」

この説明が功を奏したのか、それとも私の必死の形相が相手の同情を誘ったのか、検査はそこまで。おぼつかない手つきで包装を元に戻そうとする係官を制して、そのままバッグに詰め込むと機内に乗り込みました。

ボストンに着き、市内のホテルの部屋で包装のやり直しをトライしますが、上手くできません。

翌日、崩れた包装のまま駐在員の待つオフィスを訪問。事情を説明したところ、以前にも、羊羹を爆発物と間違えられて、武装警官に取り囲まれる騒ぎを起こした社員がいたとか。アメリカ人の感覚では、どうやら和菓子のアンコは爆発物に見えるようです。