MENU

三菱マテリアルと宇部興産、新型シリカフュームセメントを開発

2004年6月30日

三菱マテリアル(株)(社長:井手 明彦)と宇部興産(株)(社長:常見 和正)は、圧縮強度150N/mm2以上の超高強度コンクリートに適した新型シリカフュームセメント「シリカフュームセメントスーパー」を開発しました。

近年、大都市圏を中心として超高層集合住宅の建築が増加しており、それに伴ってコンクリートの高強度化が進んでいます。しかしながら100N/mm2以上のコンクリートを実現するためには、JIS規格のセメントだけでは不可能です。
1992年、三菱マテリアル製セメントにシリカフュームを混合して製造された高強度コンクリートの施工が、国内で初めて実施されました。現在では、セメント工場で低熱系のポルトランドセメントに超微粒子のシリカフュームを混合した、シリカフュームセメントが製造されています。

しかし、現在のシリカフュームセメントでは120N/mm2クラスのコンクリートが限界でした。150N/mm2以上の強度になると、水セメント比は15%を下回るようになります。このようなコンクリートは粘性が著しく高くなるため、コンクリートの製造や施工が難しく、特にポンプ施工は不可能といわれていました。
近年の高強度コンクリートのニーズの高まりに応え、また、将来の建設技術の発展に貢献するためには、さらに高性能化した新型シリカフュームセメントの開発が急務となっていました。
今般、開発した「シリカフュームセメントスーパー」は、シリカフュームの増量とセメントの組成と製法の最適化によって、上記の課題を克服することに成功しました。

このセメントの出現によって、通常入手可能な骨材(砕石、砂)を用いても150N/mm2クラスの達成が可能となります。また、より高品質の骨材を選べば、200N/mm2の達成も考えられます。

また、単独ではハンドリングや分散性が悪いシリカフュームをセメント中に均一混合しているため、生コン工場では、通常のセメントと同じように使用できる利点があります。

両社は、本年3月10日に実大規模の柱型試験体の製作やポンプ圧送を含む施工実験を実施し、十分な施工性を有していることや水セメント比12%でもポンプ圧送が可能であることなど、「シリカフュームセメントスーパー」の高性能を確認済みであり、本年度上期の商品化を目途にさらに検討を加速してまいります。

なお、販売は両社の共同事業会社である宇部三菱セメント(株)(社長:森 榮)を通じて行ないます。

用語の説明

シリカフューム 金属シリコンやフェロシリコンをアーク式電気炉で製造する際に発生する排ガスから捕集される非晶質の二酸化珪素を主成分とする直径0.1μm程度(タバコの煙程度)の球状超微粒子で、コンクリートの強度と流動性を向上させる効果があります。
圧縮強度 圧縮する力に抵抗できる強さの程度。一般的な建築用のコンクリートの圧縮強度は、30N(ニュートン)/mm2程度です。
高強度コンクリート 通常のコンクリートより高い圧縮強度をもつコンクリート。JASS 5(建築工事標準仕様書)では、36N/mm2以上の強度のあるものを高強度コンクリートという。
水セメント比 モルタルやコンクリートに含まれる水とセメントの質量比。通常、この比が小さい程にコンクリートの強度が高まる。一般的な建築用のコンクリートの水セメント比は、50%程度です。

お問い合わせ先

  • 三菱マテリアル株式会社 広報・IR室
  • TEL:03-5252-5206
ニュースリリースについてのお問い合わせ