宇部興産(株)(社長:田村浩章)が独自に開発した新ポリアミドエラストマー「UBESTA XPA」が、2006年春の選抜高校野球大会向けに発売されたミズノ(株)(社長:水野正人)の野球用シューズ「MIZUNO ミズノプロ 2KM-40100(high cut model) 2KM-40200(low cut model)」用のソール主材として採用された。
野球選手の運動は投げる、打つ、捕ると多様を極め瞬間的に猛烈なダッシュ、ストップを繰り返し行っている。選手と地面の間にあって、もっとも重要な役割を担うのがシューズであり、とりわけ重要なのがソール材である。反発弾性と低温特性、そして軽量、堅牢、耐久性が非常に高いレベルで要求される。
宇部興産の新ポリアミドエラストマー「UBESTA XPA」はそのような野球選手の過酷な使用に耐える特性だけでなく、屈曲疲労性と耐磨耗性をも高いレベルで兼ね備えている。
今回の開発にあたっては、屈曲疲労性と耐磨耗性だけでなく、ソールの剛性を支える補強機能である高反発ポリエステル繊維を包み込み、且つ高反発ポリエステル繊維そのものが目視できる透明性を持ちながら柔らかく且つ腰のある素材が求められてきた。
これに対し「UBESTA XPA」は高反発ポリエステル繊維との接着性に優れ、透明で良好なスナップ(折り曲げ反発)性を与えることができ、現行の皮製のソールよりも好適な素材であるとミズノに認められての採用となった。
ソール主材としての「UBESTA XPA」の特徴は以下のとおり。
「UBESTA XPA」は2004年に開発に成功、現在山口県の宇部ケミカル工場で年200t生産されており、主に靴底部材、電動工具カバー材や低温倉庫用キャスター部材向けに販売されている。
宇部興産では、今後、「UBESTA XPA」の優れた特性を活かした用途開発に注力すると共に、これらの特性を更に伸ばす技術開発を一層推進していく意向であり、2010年には売上高22億円を目指す。
2KM-40100(high cut model)2KM-40200(low cut model)外観
2KM-40100(high cut model)2KM-40200(low cut model)のソール部品