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英国・ICL社とPUDの技術ライセンス契約を締結

2007年10月23日

宇部興産株式会社(社長:田村浩章)は、英国のICL社(Industrial Copolymers Ltd.。社長:Dr. L. J. Daniels)とPUD(水系ポリウレタン・ディスパージョン(water-borne polyurethane dispersion))に関する技術ライセンス契約を締結し、環境コーティング材料*分野に本格参入する。
PUDは数十~数百nmレベルの微粒子が水中に分散した樹脂製品。各種塗料・コーティング材、人工皮革、接着剤、ガラス繊維集束材など多彩な用途において年率5~10%の成長を続けている。近年、特にVOC(揮発性有機化合物)排出規制に対し切り札となる材料の一つとして、自動車用内外装コーティングを中心に需要が急伸している。
宇部興産では2003年からPUDの研究開発を進めてきたが、市場の拡大に対応して、先行メーカーからの技術導入により事業化を早めることが得策と判断し、欧州市場を中心にコーティング用途でPUDの製造・販売に長年の実績を有するICLと今次ライセンス合意に至った。

宇部興産はPUDの中間原料であるPCD(ポリカーボネート・ジオール(Polycarbonate Diol))を既に日本とスペインで事業化しており、更にPCD原料のDMC(炭酸ジメチル(Dimethyl Carbonate))と1.6ヘキサンジオールも自製している。DMCは宇部で増産対応済み。1.6ヘキサンジオールについては宇部、堺、スペインに続きタイでの工場建設を検討している。
機能品・ファインカンパニー(ファインケミカルビジネスユニット)内に今年4月に新設した「環境コー ティング材料グループ」が顧客へのPUDサンプルワークを既に始めており、既存製品の市場導入に加えて自製原料を利用し、個別ニーズに対応するカスタム・グレードの開発も積極的に推進していく。
供給体制は、当面の市場導入期にはパイロット設備とICLへの委託生産で対応するが、年産2000トン規模の自社量産工場を2009年度半ばまでに国内で新設、稼働させる予定。

宇部興産の機能品・ファインカンパニーでは、環境コーティング材料をグローバルな戦略事業と位置づけており、PUDも当初は国内およびアジア市場を主要ターゲットとするが、中長期的にはICLとの協力関係の拡大可能性も含めて、世界的な製造、販売、技術サービス体制の構築を目指す。

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環境コーティング材料:環境に配慮した塗料関連製品のこと。光化学スモッグ、シックハウス症候群などの公害や健康問題の原因とされる有機溶剤(VOC規制対象物質)の使用を削減するべく、塗料に代表されるコーティング材料は溶剤系から水系へのシフトが産業界のトレンドである。宇部興産は水系塗料の鍵となる材料であるPUDをはじめ、人体や環境に優しいコーティング材料を提供することでニーズに応える。

参考 ICL社の概要

所在地 Iotech House, Miller Street, Preston, Lancashire, PR1 1EA, England
事業内容 コーティング用途PUDの製造・販売
設立 1986年
売上高(グループ) 約70億円(3千万英国ポンド)
従業員数(グループ) 約260人
ホームページ http://www.incorez.com/ 新しいウィンドウが開きます
左:ICL社 Dr. L. J. Daniels社長/右:宇部興産(株)機能品・ファインカンパニー 紀平浩二カンパニープレジデント

左:ICL社 Dr. L. J. Daniels社長/ 右:宇部興産(株)機能品・ファインカンパニー 紀平浩二カンパニープレジデント

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