宇部興産株式会社（社長：竹下道夫）は、太陽電池生産用部材向けなどでの需要拡大に対応するため、宇部ケミカル工場（山口県宇部市）の窒化珪素製造設備の増強に着手した。これにより、生産能力は現行の約2～3割増加する。2012年3月に完工の予定で、総投資額は10億円強。
窒化珪素は、耐熱性・靭性などで優れた機械的特性を持つ無機化合物のセラミックスで、グロープラグなどの自動車部品、太陽電池生産用部材や工作機械用の軸受、ＬＥＤ用蛍光体などで主に使われる。中でも太陽電池生産用部材は住宅用太陽光発電の普及に伴い、大幅な需要増が見込まれており、今回の増強はこれらの需要増に対応するもの。
宇部興産の窒化珪素は、独自の製法（イミド熱分解法）によって製造され、他の製法で作られる窒化珪素よりも、粒子の均一性が高く、高純度であることから、機械的特性、耐熱性に優れるという特長を持つ。このため、世界のセラミックスメーカーから高い評価を受けており、高品位分野において独占的なシェアを有している。
宇部興産は高品位窒化珪素のトップメーカーとして、需要増に応えることで、5年後には2倍の増収を見込む。
