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「翼」第5号:環境安全部だより


環境安全部だより メガソーラー発電所に見学にお越し下さい

ユーエスパワー(株)・メガソーラー発電所

かなたに本誌第4号で紹介したコールセンター(正面)と興産大橋(右手)を臨むユーエスパワー(株)・メガソーラー発電所

動画はこちらから

国道190号線から宇部湾岸道路(宇部スカイロード)西本町ランプを登った先、世界的にも珍しいS字型曲線斜張橋を渡ると、静かな瀬戸内海と自然豊かな厚東川に囲まれた広大な敷地にメガソーラー発電パネルが設置されているのが見えます。

この太陽光発電所は弊社と昭和シェル石油が50%ずつ出資して設立したユーエスパワー株式会社が運営しており、2014年7月に運用を開始しました。太陽電池は山口県内最大の21MWを超える出力を誇ります。年間発電量は一般家庭の6,900世帯分の電気使用量に相当する2,500万kWhに達し、年間8,300トンもの二酸化炭素排出量を削減できる計算になります。

発電所の敷地面積は恩田運動公園全体の3倍に相当する約30万平方メートルもあり、ここに13万3千枚の太陽電池が敷き詰められています。全ての太陽電池を点検するためには40kmもの距離を歩くことになるほど広大な発電所ですが、遠隔監視による自動運転で効率化を図っています。

ですが、安全・安定した運転のために熟練した作業員による点検や電気機器の保守作業も欠かしていません。悩みのタネは敷地内に生える雑草です。放置すれば人の背丈ほどにも茂り、太陽電池に影を作ってしまうのですが、農薬は使わず、人手による定期的な除草作業によって高い発電効率を保っています。

発電所入口には緩やかなスロープを備えた展望デッキを設置し、整然と並ぶ太陽電池群と厚東川河口に架かる興産大橋の雄大な景色を眺望することができますし、太陽電池パネルの模型と設備概要、現在の発電量等を示すパネルも展示しています。平日及び休祝日の9:00~16:30の間は自由に見学して頂けるよう、一般開放しておりますので、山口県内最大出力のメガソーラーを是非ご体感ください。

こぼれ話

メガソーラ—発電所全景

日本全国で節電の取り組みが積極的に進められていますが、いくら節電したとしても電気をまったく使用しない生活は考えることができません。また、世界情勢が不安定化する中で燃料のほとんどを輸入に頼っていることに対する危機感や、東日本大震災をきっかけにした国内における電力供給不安が高まっています。
そんな中で注目を集めているのが化石燃料に頼ることなく、これまでは利用されずにいた自然エネルギーを使った様々な発電方法、つまり再生可能エネルキーによる発電です。弊社は比較的天候に恵まれた瀬戸内海に面して南側が大きく開けた広大な埋立地を所有しています。そこに建設されたユーエスパワー株式会社のメガソーラー発電所は東京ドーム6個分に相当する30万平方メートルもの敷地に13万3,000枚の太陽光発電パネルを敷き詰め、二酸化炭素の削減量で換算すると敷地面積の100倍に近い森林が吸収する二酸化炭素量を削減することが可能です。
敷地は埋め立てによって作り出された平地ですので、発電所を建設するために森林を伐採したり自然環境を破壊して造成したりするような行為などもしておらず、建設から運転にいたるまで環境にやさしいメガソーラー発電所となっています。
弊社による再生可能エネルギー利用は実は太陽光だけではありません。化石燃料から再生可能エネルギーへの転換は弊社の創業理念である「有限の鉱業から無限の工業へ」、「共存同栄」の考えそのものです。エネルギーインフラを担うエネルギー・環境事業部では太陽光以外にも三つの再生可能エネルギーの創出に取り組んでいます。
一つ目は水力発電です。弊社では厚東川水力発電所を所有し、環境にやさしい発電など誰も考えていなかった昭和25年から化石燃料の使用量を削減する取り組みを進めてきました。運転開始から64年が経過した現在も厚東川の豊かな流れを電気エネルギーに変換し続けています。
二つ目は木質バイオマス発電です。IPP(卸電力事業)発電所では2006年より、それまでは廃棄物として捨てられていた建設廃材など年間8万トンを石炭の代替燃料として発電に利用しています。
三つ目は良質なバイオマス燃料の開発です。現在、各種バイオマスの石炭代替燃料としての利用方法開発を行っており、化学製品による豊かな暮らしを維持しつつ豊かな自然環境を次の世代に守り伝えるにはどうすればよいか、その難問解決に鋭意取り組んでいます。

展望台に設置された発電量表示パネル その日の累積発電量とリアルタイムな発電量が表示されています。同じ場所にメガソーラー発電所の解説パネルや、太陽電池の模型も展示されています。 展望台に設置された発電量表示パネル
その日の累積発電量とリアルタイムな発電量が表示
されています。同じ場所にメガソーラー発電所の
解説パネルや、太陽電池の模型も展示されています。
視界を覆いつくす太陽光発電パネル 太陽の光を完全に吸収して無駄なくエネルギーに変換しますので、パネルは真っ黒に見えます。 視界を覆いつくす太陽光発電パネル
太陽の光を完全に吸収して無駄なくエネルギーに
変換しますので、パネルは真っ黒に見えます。
発電所から望む興産大橋 発電所からは興産大橋と、そこを絶え間なく行き来するダブルストレーラーも見ることができます。 発電所から望む興産大橋
発電所からは興産大橋と、そこを絶え間なく行き来
するダブルストレーラーも見ることができます。
ビデオ撮影中の無人ヘリコプター パネルの上を低空飛行しながらビデオ撮影中の無人ヘリコプターです。高度を上げると大きな野鳥が警戒して近づいてきます。背景に見えるは弊社の工場群です。煙突から出ているのは水蒸気で工場の排気も完全にクリーンにした後に放出しています。 ビデオ撮影中の無人ヘリコプター
パネルの上を低空飛行しながらビデオ撮影中の無人
ヘリコプターです。高度を上げると大きな野鳥が警戒
して近づいてきます。背景に見えるは弊社の工場群です。
煙突から出ているのは水蒸気で工場の排気も完全に
クリーンにした後に放出しています。

(担当:中西)

担当者から一言

保守作業等で発電所の中に入ると見渡す限りの太陽光パネルです。
同じ景色が延々と続き、鳥の鳴き声と虫の音しか聞こえないので宇部の工業地帯の中に居ることを忘れてしまいます。
雲の隙間から太陽の光が差すと発電量を示すモニタの指示値がぐんぐん上がっていきます。売電量が天候に左右されるので天気予報の晴れマークに胸がときめくようになりました。雨の日は大幅に発電量が減ります。次回の晴れに備えてパネルの汚れを洗浄するために必要な雨だったのだと思うことにしています。
(担当:電力ビジネスユニット担当者)

実は今回の取材で初めてユーエスパワー発電所を訪れました。2年前に訪れたときには何もない荒地だった場所に広大な発電所が建設され、わずかな乱れも無く規則正しく並んだ発電パネルには圧倒されました。
今回の取材では、日常では絶対に経験することのできないアングルからこの発電所を堪能していただくために、ビデオカメラを積んだ無人ヘリコプターを飛ばしたのですが(ぜひこのページの動画をご覧下さい)、ナワバリに敵が侵入したと勘違いした猛禽類にヘリコプターを攻撃されそうになるハプニングもありました。猛禽類は食物連鎖の頂点にいる鳥ですので、それがこんなに身近にいるということは、発電所が稼動してもなお、周辺が自然豊かな環境にあるということです。
大規模な工場群と静かな瀬戸内海を行き交う船、大空を舞う鳥たち、そして遠くには宇部興産名物のダブルストレーラー。こんな日本でもめったに見ることのできないものを一度に見ることのできるユーエスパワー発電所に是非見学にお越し下さい。広々とした展望デッキを用意してお待ち申し上げております。事前の見学申し込み等も不要ですが、お手洗いや自動販売機はありませんのでご了承下さい。
(担当:環境安全部担当者)