工場探訪：宇部藤曲工場
宇部藤曲工場
第5回目は、"世界初の大型石炭ガス化プラント"がある宇部藤曲工場を紹介します。
当工場は1969年に設立された宇部アンモニア工業（有）の工場運営を宇部興産（株）が2013年10月に受託し、設立されました。主要製品はアンモニアで、ナイロン原料（カプロラクタム）や肥料の主原料として用いられます。海外の技術をベースに独自の改良を加えた、他に類を見ないプロセスである"石炭ガス化"方式を採用しており、生産量は日本一を誇っています。
石炭ガス化設備による生産から30年の今年10月、アンモニアの累計生産量は1,000万トンを達成しました。
1969年 宇部アンモニア工業（株）（現：有限会社）設立
1984年 石炭ガス化設備完成
2013年 宇部興産（株）宇部藤曲工場設立、宇部アンモニア工業（有）が宇部興産（株）に工場運営を委託
敷地面積： 170,000m2
従業員数： 97名（2014年9月末日現在）
環境・安全への取り組み
「液化炭酸製造設備」年間約8万トンのCO2を削減
環境保全活動
2013年8月に工場で発生するCO2の回収設備を増強。環境負荷を大幅に低減するとともに、排水や排ガスを常時監視し、異常の早期発見にも努めています。
また、廃棄物ゼロを目標に廃棄物発生量の削減と再資源化に取り組んでいます。
保安防災活動
計画的な老朽設備の更新、耐震診断や大地震でも耐えられる耐震補強等保安防災にも注力しています。
また、災害の被害最小化のために定期的に防災訓練を実施するとともに、防災設備の充実を図っています。
労働災害防止
労働災害が発生しない働きやすい安全・安心な工場を目指してリスクアセスメントを実施、危険な作業を撲滅しています。社員および協力会社の安全体感教育やKY（危険予知）活動等を通して、安全意識・感性の向上を図っています。
トピックス TOPICS
消防操法競技大会
地域に役立つ様々な活動紹介
（1）消防操法競技大会
宇部山陽小野田防災協会主催の消防操作競技大会に毎年出場し、近隣企業と消火活動の正確さ・速さを競い合いながら地域の保安防災に役立つよう消火技術の向上を図っています。大会では毎年優秀な成績を収めています。
（2）記念植樹
工場緑化運動の一として、毎年1本ずつ木を植えています。緑の多い、親しみやすい工場を目指しています。
記念植樹の「金柑の木」
工場長メッセージ
宇部藤曲工場工場長・三浦さん
皆さんこんにちは。私たち宇部藤曲工場は、アンモニアを中核とする製品を安定的に生産し、世界に誇れる工場をめざしています。今年の最大の目標は、4つの安全項目（労働安全・設備安全・環境安全・品質安全）のゼロ災害の達成と更なる生産性向上です。100人の少数精鋭の工場ですが、しっかりお互いに挨拶し、声をかけ明るい職場づくりに努め、みんなで意識を高め地域の皆様が安心していただける工場を目指します。
こぼれ話
安定操業の限界に挑戦し続ける職人たち
今回ご紹介させていただいた宇部藤曲工場は、アンモニアだけでなく水素や窒素といった工場を稼動させる上で必要不可欠な製品を生産し宇部地区工場群に供給しています。ですから"絶対に止まってはいけない工場"と位置づけられ、安定的に生産し続けることが求められます。
さて、工場の安定操業についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。工場はただボタンを押して起動させるだけで安定的に動く訳ではありません。様々な条件の変動や設備の経年劣化など日々変わっていく状況に合わせて、運転方法を変えたり、設備の補強策を考えたりしていかなければなりません。また「何トン生産すればおしまい」といった明確な終わりがないため、ゴールが見えない途方もない作業なのです。
このように大変困難な工場の安定操業ですが、今現在成り立っているのは、寡黙な職人気質の社員が日々懸命に職務にあたっているからです。機械のプロ、運転のプロ等々、1人1人がプロフェッショナルとして作業を安全に・迅速に・確実に行って、工場が安定的に運営されています。
夜、宇部興産の工場群を見るととてもきれいな景色を見ることができます。しかしその景色が成り立っているのは、川を挟んで向かい側の宇部藤曲工場で、安定操業という終わりのない目標に向けて努力し続ける職人達の存在があってこそということを思い出してくれればありがたいです。
担当者から一言
