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「翼」第13号:環境安全部だより


環境安全部だより グリーンケミストリー 環境に優しい技術・製品の開発

グリーンケミストリーとは、化学物質の製造から廃棄までのライフサイクル全体において、環境負荷を軽減しようとする概念と、そのための技術の総称で、グリーンサステイナブルケミストリーとも呼ばれます。UBEグループでは、環境に優しい技術・製品の開発に、独自の技術で取り組んでいます。香水やトイレタリーに使用されるマリン系香料は、クスノキ科の木の根からとれるサッサフラス油を原料として生産されてきたため、乱伐による木の絶滅の危機、森林破壊とそれに伴う水害等の災害が深刻となり、供給不足も問題となっていました。

宇部興産は、天然原料を使わない完全化学合成による製法を世界で初めて開発し、マリン系香料『ヘリオフレッシュ®』の商業生産を開始しました。その世界シェアはほぼ100%となり、持続可能な社会の実現に貢献しています。高耐久を必要とするコーティングには、溶剤系コーティング材料が使用されてきましたが、大気汚染の原因となる揮発性有機化合物(VOC*)の排出が問題視されています。水系コーティング材料は、耐久性が劣るため普及が遅れていますが、宇部興産は、高耐久性水系ポリウレタンコーティング材料(PUD)の開発に成功しました。
溶剤系と比べて、VOCを8〜9割削減することができ、さらに室温での粘性が低く乾燥が速いため、生産ラインのコンパクト化やCO²排出量の削減に寄与します。
これらの技術は公益社団法人新化学技術推進協会において表彰され、『ヘリオフレッシュ®』の製法は、第10回グリーンサステイナブルケミストリー賞を、PUDの開発は、第4回グリーンサステイナブルケミストリー奨励賞を受賞しました。

* VOC(Volatile Organic Compounds):揮発性を有し、大気中で気体となる有機化合物の総称。
遊粒子状物質および光化学スモッグの生成原因となる。

ヘリオフレッシュ®を使用した香水
PUDを使用して施工された床面