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昇温脱離法(TPD法)による炭素材料表面の官能基評価

炭素材料は電池、吸着材、塗料、炭素繊維強化プラスチックなど幅広い分野で使用されており、その表面官能基は、触媒性能や電気特性、親水性、吸着特性などに大きく影響します。したがって材料設計を行う上で、表面官能基の評価は極めて重要になります。従来、官能基の評価として中和滴定やXPS、FT-IRが知られていますが、微量官能基の検出が困難であったり、黒色材料に適用できないなどの問題点がありました。

昇温脱離(TPD)法とは、不活性ガス下で試料を加熱し、発生するガスの温度と成分種から、存在する含酸素官能基の種類と量を調べる手法です。本報では文献1)及び2)を参考に、TPD法による含酸素官能基の評価を行いました。

1)炭素 2009 No.237 67-71,2)炭素 2016 No.274 125-131

そこで、Aldrich社製の修飾済み単層カーボンナノチューブ(Carboxylic acid functionalized LOT MKBB1737,カルボン酸含有量2.0at%)を用いて、TPDよるカルボキシ基の定量を行いました。
図にTPD測定結果(左図)及び解析結果(右図)を示します。本解析では、文献1)中のFig.1 Possible structures of oxygen-containing functional groups and their decomposition by TPDを参考に実施しました。その結果、TPDから求めたカルボキシ基量2.3at%、カタログスペックの2.0at%に近似しており、両者の相関性が確認されました。
以上より、TPDを用いることにより、表面官能基の定量的な評価が可能であることが分かりました。

図:カルボキシ基の解析結果

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