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F091

TDS-MSによるLiB正極活物質温度特性の分析

リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度の高さと電圧の高さから、小型・軽量化が可能であり、電気的にもさまざまな長所を有することから、新たな電源として著しい成長を見せています。正極の活物質としてコバルト酸リチウムがよく知られていますが、より一層の性能向上およびコストダウンを目指して、さまざまな化合物が検討されています。

その温度特性を把握する手段として、昇温によりO2やCO2が、どのような温度域で発生しているかを調べる方法があり、このような目的のためには、TDS-MSが有効です。TDS-MSは、高真空中で試料を加熱することにより発生する無機ガスを分析する装置で、微量のガスを高感度に定量することができ、その定量下限は1E+13(分子個数)レベルです。このためサンプル量が少ない場合でも、正確な測定が可能です。

図1に示したクロマトグラムは、正極材粉末を1,000℃まで加熱した際に発生する酸素を測定した1例です。昇温と共に材料の格子構造が乱れ、酸素を放出していると推定されます。また、材料により酸素の発生温度域が異なっており、熱安定性の評価に有効であることがわかります。

図1:各種活物質からのO2(m/z=32) の発生状況

図1:各種活物質からのO2(m/z=32) の発生状況

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